問題 2
a_1=\begin{pmatrix}1\\2\end{pmatrix},
\qquad
a_2=\begin{pmatrix}3\\1\end{pmatrix},
\qquad
b=\begin{pmatrix}9\\7\end{pmatrix}
とする。b が a_1,a_2 の線型結合で表せるかを判定し、表せるなら係数を求めよ。
解答例
○
x a_1+y a_2=b
とおくと、
\begin{cases}
x+3y=9,\\
2x+y=7
\end{cases}\begin{cases}
x+3y=9,\\
2x+y=7
\end{cases}
である。これを解くと y=\frac{11}{5}、x=\frac{12}{5} である。したがって、
b=\frac{12}{5}a_1+\frac{11}{5}a_2
である。
解説
「b が a_1,a_2 で張られる空間に入るか」は、「x a_1+y a_2=b を満たす x,y が存在するか」と同値である。この同値性を確認してから連立方程式を解くので、計算は単なる代入ではなく、張る空間への所属判定になっている。
問題 3
w_1=\begin{pmatrix}1\\0\\2\end{pmatrix},
\qquad
w_2=\begin{pmatrix}0\\1\\-1\end{pmatrix},
\qquad
w_3=\begin{pmatrix}2\\-1\\5\end{pmatrix}
が一次独立か一次従属かを判定せよ。
解答例
○
c_1w_1+c_2w_2+c_3w_3=0
とおくと、
\begin{cases}
c_1+2c_3=0,\\
c_2-c_3=0,\\
2c_1-c_2+5c_3=0
\end{cases}\begin{cases}
c_1+2c_3=0,\\
c_2-c_3=0,\\
2c_1-c_2+5c_3=0
\end{cases}
である。c_1=-2c_3、c_2=c_3 を第3 式に代入すると、
2(-2c_3)-c_3+5c_3=0
となり、これは恒等的に成り立つ。たとえば c_3=1 とすると c_1=-2、c_2=1 であり、
-2w_1+w_2+w_3=0
である。したがって一次従属である。
解説
一次独立とは、c_1w_1+c_2w_2+c_3w_3=0 から c_1=c_2=c_3=0 だけが出ることである。非自明な係数が見つかれば一次従属である。この問題では w_3=2w_1-w_2 なので、w_3 は新しい方向を追加していない。
補充問題:講義から移動した確認
問題 6
u=(2,-1,3)^T、v=(0,4,1)^T に対して u+v と 3u-2v を計算せよ。
○
u+v=(2,3,4)^T、3u-2v=(6,-11,7)^T である。
この問題は、ベクトルの和とスカラー倍を成分ごとに行うことを確認する。
問題 7
a(1,0)^T+b(0,1)^T=(5,-2)^T を満たす a,b を求めよ。
この問題は、標準基底では係数がそのまま成分になることを確認する。
問題 8
2(1,1)^T-(3,-1)^T がどの方向を表すかを成分で確認せよ。
○
2(1,1)^T-(3,-1)^T=(-1,3)^T である。
この問題は、線型結合が複数の方向を係数つきで組み合わせる操作であることを確認する。
問題 9
(1,0)^T と (1,1)^T が \mathbb R^2 を張るか判定せよ。
○
a(1,0)^T+b(1,1)^T=(a+b,b)^T である。任意の (x,y)^T に対して b=y、a=x-y と取れるので、\mathbb R^2 を張る。
この問題は、「張る」とは任意の目標ベクトルを線型結合で作れることだと確認する。
問題 10
(1,2)^T と (2,4)^T の張る空間を説明せよ。
○
(2,4)^T=2(1,2)^T なので、張る空間は \{t(1,2)^T\mid t\in\mathbb R\} である。
この問題は、ベクトルの本数ではなく独立な方向の数が張る空間を決めることを確認する。
問題 11
(3,1)^T が (1,0)^T,(0,1)^T の線型結合で表せることを確認せよ。
○
(3,1)^T=3(1,0)^T+1(0,1)^T である。
この問題は、標準基底が \mathbb R^2 全体を張ることを確認する。
補充問題:零ベクトルと張る空間の境界例
問題 12
u=\begin{pmatrix}1\\2\end{pmatrix}
について、0u、-u、u+(-u) を求め、それぞれが何を表すか説明せよ。
○
0u=\begin{pmatrix}0\\0\end{pmatrix},
\qquad
-u=\begin{pmatrix}-1\\-2\end{pmatrix},
\qquad
u+(-u)=\begin{pmatrix}0\\0\end{pmatrix}
である。0u は方向を失った零ベクトル、-u は u と反対向きのベクトル、u+(-u) は加法逆元によって零ベクトルへ戻ることを表す。
この問題は、ベクトル演算で何が変わるかを確認する境界例である。0u は向きを保存せず、-u は直線そのものは変えずに向きを反転する。
問題 13
u=\begin{pmatrix}1\\2\end{pmatrix}
について、
\operatorname{span}(u),\qquad
\operatorname{span}(u,0),\qquad
\operatorname{span}(u,2u)
が同じ集合であることを説明せよ。
○
0=0u、2u は u の定数倍である。したがって、0 や 2u を追加しても、u から作れる線型結合の範囲は増えない。
\operatorname{span}(u)=\operatorname{span}(u,0)=\operatorname{span}(u,2u)
である。
この問題は、生成集合に余分なベクトルを加えても、張る空間が変わらない場合を確認する。本数が増えることと、独立な方向が増えることは別である。