列ベクトルの独立性と階数への橋渡し
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導入
この講義で重要なのは、列ベクトルの一次独立性は、行列の pivot と階数へ直結するということである。
階数を非零成分の個数と誤解すると、行列が保持する情報量を把握できない。列ベクトルの独立な方向の本数が階数である。
用語と定義
ベクトル v_1,\dots,v_k が一次独立であるとは、
c_1v_1+\cdots+c_kv_k=0
から
c_1=\cdots=c_k=0
が従うことである。
階数 は、独立な列ベクトルの最大本数である。
直感的な説明
2 本の列ベクトルが同じ方向を向いていれば、一方は他方の定数倍であり、新しい方向を追加しない。階数は、このような重複を除いた本質的な方向の数である。
厳密な説明
a_1,\dots,a_n を行列 A の列ベクトルとする。一次関係
c_1a_1+\cdots+c_na_n=0
は
Ac=0
と同値である。したがって、列ベクトルの一次独立性は同次方程式 Ac=0 の解を調査することで判定できる。
行基本変形をしても、この同次方程式の解集合は変わらない。実際、行基本変形は左から可逆行列 E を掛ける操作なので、EA c=0 なら A c=E^{-1}0=0 であり、逆も成り立つ。
ここで保存されるのは、列どうしの一次関係である。一方、行基本変形は列ベクトルそのものを E a_i に移すため、列空間そのものは一般には変わる。だから階段形で見つけた pivot 列は、「変形後の列そのもの」ではなく、「元の行列の同じ位置の列」へ戻して読む必要がある。
具体例
a_1=\begin{pmatrix}1\\0\\1\end{pmatrix},\quad
a_2=\begin{pmatrix}0\\1\\1\end{pmatrix},\quad
a_3=\begin{pmatrix}1\\1\\2\end{pmatrix}
とする。ここで
a_3=a_1+a_2
であるため、3 本は一次従属である。独立な方向は a_1,a_2 の 2 本で十分であり、階数は 2 である。
よくある誤解
- 階数は非零成分の個数ではない。独立な列の本数である。
- 掃き出し後の列そのものが元の列空間を表すとは限らない。pivot 列の位置を元の行列へ戻して確認する。
- 列が多いほど階数が大きいとは限らない。従属な列は新しい方向を追加しない。
どこまで成り立つか
列ベクトルの独立性は有限次元の階数の基礎である。抽象ベクトル空間では列として並べるとは限らないが、線型結合による一次独立の定義はそのまま成立する。
最終形
\boxed{c_1a_1+\cdots+c_na_n=0\iff Ac=0}
\boxed{\operatorname{rank}(A)=\text{独立な列の最大本数}}