7補充問題:行列式の計算と可逆性
7.1問題 6
\det\begin{pmatrix}4&1\\2&3\end{pmatrix} を計算せよ。
7.2解答例
4\cdot3-1\cdot2=10 である。
7.3問題 7
2 行を交換したとき、行列式がどう変化するか述べよ。
7.4解答例
符号が反転する。
7.5問題 8
2 列を交換したとき、行列式がどう変化するか述べよ。
7.6解答例
符号が反転する。
7.7問題 9
行列式が 0 になる 2\times2 行列を 1 つ構成せよ。
7.8解答例
たとえば
\begin{pmatrix}
1&2\\
2&4
\end{pmatrix}
は 2 行目が 1 行目の 2 倍なので行列式は 0 である。
7.9問題 10
第二列に零が多い 3\times3 行列を余因子展開で計算せよ。
7.10解答例
たとえば
A=
\begin{pmatrix}
1&0&2\\
3&5&1\\
0&0&4
\end{pmatrix}
なら、第二列で展開すると
\det A
=
5(-1)^{2+2}
\det\begin{pmatrix}
1&2\\
0&4
\end{pmatrix}
=20
である。
7.11問題 11
余因子の符号を 3\times3 の表で書け。
7.12解答例
\begin{pmatrix}
+&-&+\\
-&+&-\\
+&-&+
\end{pmatrix}
7.13問題 12
\det A=0 のとき、A^{-1} が存在しない理由を説明せよ。
7.14解答例
\det A=0 は線型変換が体積を 0 倍に潰すことを意味する。情報が失われるため、出力から入力を一意に復元できず、A^{-1} は存在しない。
7.15問題 13
列ベクトル a,b,c について
\det(a,b,c)=5
であるとする。多重線型性と交代性だけを使って、次を求めよ。
- \det(a+2b,b,c)
- \det(2a,c,b)
- \det(a,b,a+c)
7.16解答例
多重線型性より
\det(a+2b,b,c)=\det(a,b,c)+2\det(b,b,c)=5
である。2 本の列が一致する項は 0 になる。
第 2 式では
\det(2a,c,b)=2\det(a,c,b)=-2\det(a,b,c)=-10
である。b と c を交換すると符号が反転する。
第 3 式では
\det(a,b,a+c)=\det(a,b,a)+\det(a,b,c)=5
である。
7.17解説
この問題は、行列式を公式に代入するだけでなく、列に関する線型性と「同じ列が 2 本あると 0」という原理から値を読む練習である。
7.18問題 14
A=
\begin{pmatrix}
1&2\\
3&7
\end{pmatrix},
\qquad
B=
\begin{pmatrix}
7&-2\\
-3&1
\end{pmatrix}
について、B が A^{-1} であることを AB と BA の両方を計算して確認せよ。
7.19解答例
AB=
\begin{pmatrix}
1&0\\
0&1
\end{pmatrix},
\qquad
BA=
\begin{pmatrix}
1&0\\
0&1
\end{pmatrix}
である。したがって B=A^{-1} である。
この問題は、逆行列が片側だけの記号操作ではなく、左右から掛けて単位行列を返す行列であることを確認する。
7.20問題 15
問題 14 の A について、
b=\begin{pmatrix}5\\17\end{pmatrix}
とする。Ax=b を x=A^{-1}b により解き、解が一意である理由を述べよ。
7.21解答例
x=A^{-1}b
=
\begin{pmatrix}
7&-2\\
-3&1
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}5\\17\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}1\\2\end{pmatrix}
である。A が可逆なので、Ax=b の解が 2 つあれば、その差は A(x_1-x_2)=0 を満たす。A^{-1} を掛けると x_1-x_2=0 となるため、解は一意である。
この問題は、逆行列が連立一次方程式の一意解と結びつくことを確認する。
7.22問題 16
A=\begin{pmatrix}1&0\end{pmatrix},
\qquad
B=\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}
について、AB と BA を計算し、片側だけで単位行列になっても逆行列とは言えないことを説明せよ。
7.23解答例
AB=
\begin{pmatrix}1\end{pmatrix}
=I_1
である。一方、
BA=
\begin{pmatrix}
1&0\\
0&0
\end{pmatrix}
\ne I_2
である。したがって、B は A の両側の逆行列ではない。
この問題は、長方行列では片側逆が現れても、正方行列の逆行列と同じようには扱えないことを確認する。
7.24問題 17
\det A=6 とする。次の列操作の後で行列式がどう変化するかを答えよ。
- C_1\leftrightarrow C_3
- C_2\leftarrow 3C_2
- C_3\leftarrow C_3-5C_1
7.25解答例
- 列の交換なので -6。
- 列の 3 倍なので 18。
- 他列の倍を加える操作なので 6。
この問題は、行だけでなく列の基本変形でも行列式の変化を追跡できることを確認する。
7.26問題 18
A=
\begin{pmatrix}
0&2&1\\
1&3&0\\
2&4&1
\end{pmatrix}
の行列式を、行基本変形による変化を追跡しながら求めよ。
7.27解答例
まず R_1\leftrightarrow R_2 とする。この交換で行列式の符号が反転する。
\begin{pmatrix}
0&2&1\\
1&3&0\\
2&4&1
\end{pmatrix}
\to
\begin{pmatrix}
1&3&0\\
0&2&1\\
2&4&1
\end{pmatrix}
つぎの 2 つの行への加算は行列式を変えない。
R_3\leftarrow R_3-2R_1,
\qquad
R_3\leftarrow R_3+R_2
したがって
\begin{pmatrix}
1&3&0\\
0&2&1\\
0&0&2
\end{pmatrix}
を得る。さらに R_2\leftarrow \frac12 R_2 とすると、
\begin{pmatrix}
1&3&0\\
0&1&\frac12\\
0&0&2
\end{pmatrix}
となる。この定数倍では行列式が \frac12 倍になる。最後の三角行列の行列式は
1\cdot 1\cdot 2=2
である。よって、定数倍の前の行列式は 4、最初の行交換の前の行列式は
\det A=-4
である。
この問題は、行基本変形を計算の道具として使うときに、交換、非零定数倍、他行の倍の加算がそれぞれ行列式をどう変えるかを同時に管理する練習である。