2用語と定義
行列式 とは、正方行列 A に対して対応する数 \det A である。2×2 行列では
\det\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}=ad-bc
で定義される。
n\times n の一般の定義では、置換を使って各行・各列から 1 個ずつ成分を選ぶ。この定義から、多重線型性と交代性が導かれる。
data/lecture/math/linear-algebra/determinants-by-permutations.lecture.n.md
3方針
2×2 では対角方向の積の差として計算する。3×3 以上では、余因子展開、行基本変形、列基本変形のうち、0 を作りやすい方法で三角行列へ近づける。
data/lecture/math/linear-algebra/elementary-row-operations.lecture.n.md
data/lecture/math/linear-algebra/elementary-column-operations.lecture.n.md
4直感的な説明
行列式は、行列が空間の面積や体積をどれだけ伸縮するかを表す。値が 0 なら、面積や体積が 0 に潰れるため、情報が失われる。逆行列は存在しない。
5厳密な説明
2×2 の場合、
A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}
に対して
\det A=ad-bc
である。3×3 の場合は、余因子展開で 2×2 の行列式へ還元できる。
行基本変形と行列式の関係は次の通りである。
- 2 行を交換すると、行列式の符号が反転する。
- 1 行を c 倍すると、行列式も c 倍される。
- ある行に他の行の定数倍を加えても、行列式は変化しない。
列基本変形でも同じ規則が成立する。
| 変形 | 行列式への影響 |
| 2 行または 2 列を交換する | 符号が反転する |
| 1 行または 1 列を c 倍する | c 倍される |
| 他の行または列の定数倍を加える | 変わらない |
5.1列操作でなぜ同じ規則になるか
行列式を列ベクトルの関数として
D(C_1,\dots,C_n)=\det\begin{bmatrix}C_1&\cdots&C_n\end{bmatrix}
と書く。行列式は各列について線型であり、2 本の列が等しいと 0 になる。
列の定数倍については、第 i 列だけに線型性を使えば
D(C_1,\dots,\lambda C_i,\dots,C_n)
=
\lambda D(C_1,\dots,C_i,\dots,C_n)
となる。したがって行列式は \lambda 倍される。
列への加算については、
\begin{aligned}
D(C_1,\dots,C_i+\lambda C_j,\dots,C_j,\dots,C_n)
&=
D(C_1,\dots,C_i,\dots,C_j,\dots,C_n)\\
&\quad+
\lambda D(C_1,\dots,C_j,\dots,C_j,\dots,C_n)
\end{aligned}\begin{aligned}
D(C_1,\dots,C_i+\lambda C_j,\dots,C_j,\dots,C_n)
&=
D(C_1,\dots,C_i,\dots,C_j,\dots,C_n)\\
&\quad+
\lambda D(C_1,\dots,C_j,\dots,C_j,\dots,C_n)
\end{aligned}
である。第 2 項は 2 本の列が等しいため 0 になる。よって行列式は変わらない。
列の交換は、2 本の列が入れ替わると向き付けられた体積の向きが反転することに対応する。代数的には、交代性から
D(\dots,C_j,\dots,C_i,\dots)
=
-D(\dots,C_i,\dots,C_j,\dots)
が従う。