微分積分の応用
mathcalculushighschoollecture
1導入
この講義では、問題が局所的な変化、区間上の累積、または導関数の総変化のいずれを要求するかを分類し、微分と積分を選択する基準を説明する。接線・瞬間速度・増減・極値には微分を、面積・質量・平均値・変位には積分を使用する。微分積分学の基本定理は、局所的な変化率と区間全体の変化量を接続する。
2局所量と微分
f が a で微分可能ならば、h\to0 のとき
f(a+h)=f(a)+f'(a)h+r(h),\qquad \frac{r(h)}h\to0
である。この一次近似は、f'(a) が a における局所的な変化率であり、誤差項 r(h) が h より高次であることを示す。したがって、接線、瞬間速度、局所近似では導関数を計算する。
f が区間で微分可能ならば、f'(x)>0 の区間で f は増加し、f'(x)<0 の区間で f は減少する。定義域の内点 c で f'(c)=0 となるか、f が c で微分不能であるとき、c を臨界点と呼ぶ。内点 c で局所的な極値を取り、f が c で微分可能ならば、フェルマーの停留条件により f'(c)=0 である。ただし、f'(c)=0 は極値の十分条件ではない。導関数の符号変化または別の判定法を確認する必要がある。
2.1極値の例
f(x)=x^3-3x ならば、
f'(x)=3(x-1)(x+1)
である。f' の符号は x=-1 で正から負へ、x=1 で負から正へ変化する。したがって、x=-1 で極大値を取り、x=1 で極小値を取る。
3累積量と積分
積分は、区間を細分して局所的な寄与を加算し、その極限を取る操作である。連続関数 f が [a,b] 上で非負ならば、
\int_a^b f(x)\,dx
は f のグラフと x 軸の間の面積である。棒の線密度を位置について積分すれば質量、流量を時間について積分すれば総量となる。このとき、被積分関数の単位に積分変数の単位を乗じると、累積量の単位を得る。
3.1関数の平均値
a<b とし、f を [a,b] 上の連続関数とする。f の平均値は、同じ総量を与える定数
f_{\mathrm{avg}}=\frac1{b-a}\int_a^bf(x)\,dx
である。たとえば f(x)=x^2 の [0,3] 上の平均値は
\frac13\int_0^3x^2\,dx=3
となる。定積分そのものは総量であり、区間長で除した値が平均値である。
4総変化量と基本定理
s を位置、v=s' を速度とする。v が [a,b] 上で連続ならば、基本定理により
\int_a^bv(t)\,dt=s(b)-s(a)
である。左辺は瞬間変化率の累積、右辺は位置の総変化量である。
変位と移動距離は区別する。変位は
\int_a^bv(t)\,dt
であるが、移動距離は
\int_a^b|v(t)|\,dt
である。速度が符号を変える場合、変位では逆向きの移動が相殺されるが、移動距離では相殺されない。
4.1変位と距離の例
v(t)=t-1 を 0\le t\le2 で考える。変位は
\int_0^2(t-1)\,dt=0
である。一方、t=1 で速度の符号が変化するため、移動距離は
\int_0^1(1-t)\,dt+\int_1^2(t-1)\,dt=1
となる。
5選択基準
| 要求される量 | 主な方法 | 確認事項 |
| 接線、瞬間速度、局所近似 | 微分 | 評価点で微分可能か |
| 増減 | 導関数の符号 | 各部分区間で f' の符号は何か |
| 局所的な極値 | 臨界点の前後の増減 | f' の符号が変化するか |
| 面積、質量、総量 | 積分 | 局所的な寄与と積分区間は何か |
| 平均値 | 積分を区間長で除する | a<b か |
| 総変化量 | 導関数の積分 | 基本定理の仮定が成立するか |
| 移動距離 | 速度の絶対値の積分 | 速度の符号が変化する点で区間を分割したか |
6適用上の注意
f'(c)=0 だけでは c が極値であると結論できない。また、f が微分不能な点や定義域の端点も極値の候補となりうる。f が閉区間 [a,b] 上で連続であるとき、最大値または最小値を求めるには、内部の臨界点と両端点における関数値を比較する。
幾何学的面積を求める場合は、上下関係または関数の符号が変化する点で区間を分割する。定積分は符号付き累積量であり、常に幾何学的面積を表すわけではない。
7演習
次の演習は、本講義の一変数微積分に加えて、偏微分と重積分、微分方程式を含む。対応する後続講義を履修後に使用すること。
data/exercise/math/calculus/advanced-calculus-applications.exercise.n.md
8関連資料
data/lecture/math/calculus/differentiation-rules-and-computation.lecture.n.md
data/lecture/math/calculus/local-linear-approximation-and-differentiability.lecture.n.md
data/lecture/math/calculus/integration-rules-and-computation.lecture.n.md
data/lecture/math/calculus/fundamental-theorem-of-calculus.lecture.n.md