一般の二階線型微分方程式の見取り図
mathdifferential-equationssecond-orderlecture
導入
このページの核心は、二階線型という語が定数係数を意味しないことを明確にし、一般論と特殊解法を分離することである。
何を解くページか
一般の二階線型の標準形は
y''+P(x)y'+Q(x)y=R(x)
である。P(x),Q(x),R(x) は対象区間で連続と仮定する。この条件のもとで、初期値 y(x_0)=a,\ y'(x_0)=b を指定すると、局所どころか対象区間上で一意解が存在する。
なぜこの方針を選ぶのか
特性方程式は二階線型の一般解法ではない。係数が定数であり、e^{rx} の微分で形が保存される場合に成立する特殊法である。この区別を先に固定しないと、変数係数の方程式に誤って特性方程式を適用する。
線型理論の骨格
同次方程式
y''+P(x)y'+Q(x)y=0
の解集合は、加法と定数倍で閉じるため 2 次元の線型空間になる。したがって独立な 2 解 y_1,y_2 が得られれば、
y_h=C_1y_1+C_2y_2
が同次解の一般形である。
非同次方程式では、特解 y_p を 1 つ得れば
y=y_h+y_p
が一般解である。この分解は線型性に由来する。
一次連立系としての観点
一般の二階線型は、一階連立系へ変換すると理論の構造が明確になる。x_1=y,\ x_2=y' と設定すると、
\begin{pmatrix}
x_1\\
x_2
\end{pmatrix}'
=
\begin{pmatrix}
0&1\\
-Q(x)&-P(x)
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
x_1\\
x_2
\end{pmatrix}
+
\begin{pmatrix}
0\\
R(x)
\end{pmatrix}
を得る。係数が連続なら、この一階連立系の標準理論により初期値 y(x_0),y'(x_0) から解が一意に決定される。二階で初期条件が 2 本必要になる理由は、状態が y と y' の 2 成分を持つからである。
この観点は、定数係数の特性方程式と連立系の固有値が同じ情報を表していることも説明する。定数係数なら行列が定数となり、固有値により指数関数の時間発展へ分解できる。
data/lecture/math/differential-equations/一階連立系と行列指数関数-講義.n.md
Wronskian と独立性
独立な 2 解 y_1,y_2 を確認するとき、Wronskian
W(y_1,y_2)=y_1y_2'-y_1'y_2
を用いる。W(x_0)\ne 0 なら、係数が連続な区間では y_1,y_2 は基本解系を構成する。Wronskian は、二階方程式の解空間が 2 次元であることを、線型代数の独立性として確認する道具である。
方法の地図
| 状況 | 候補となる方法 | 理由 |
| 定数係数 | 特性方程式 | e^{rx} の形が保存される |
| 非同次で右辺が有限次元に閉じる | 未定係数法 | 右辺と同型の候補を仮定できる |
| 右辺が一般的 | 定数変化法 | 基本解から特解を構成できる |
| 変数係数で初等解が困難 | 級数解法 | 係数比較で局所解を構成する |
具体例
y''+xy'+y=0
は二階線型であるが、定数係数ではない。したがって r^2+xr+1=0 のような特性方程式を作成してはならない。x が残存するため、e^{rx} の代入は代数方程式を生成しない。
一方、y''-3y'+2y=0 では係数が定数である。e^{rx} を代入すると r^2-3r+2=0 を得る。この対比により、特性方程式法の本質が二階ではなく定数係数にあることが判明する。
どこまで成り立つか
ここでの一般論は線型であり、係数が連続である場合に基礎を置く。非線型の二階方程式では、解空間の線型構造も重合の原理も一般には成立しない。