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分子軌道法の入口md f775940
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分子軌道法ぶんしきどうほうmolecular orbital method入口いりぐち

なぜ分子軌道法ぶんしきどうほうmolecular orbital methodかんがえるのか

この講義こうぎ中心的ちゅうしんてきいは、共有結合きょうゆうけつごうを「電子でんし共有きょうゆうする」という言葉ことばだけでなく、波動関数はどうかんすうwave functionかさわせとして説明せつめいするにはどうすればよいかである。

価電子かでんし原子げんし固定こていしてかんがえると、結合けつごう直感ちょっかんやすい。しかし、実際じっさい分子ぶんしでは、電子でんし一方いっぽう原子げんしだけにぞくするとはかぎらない。電子でんし分子ぶんし全体ぜんたいひろがる状態じょうたいstateとしてあつかほう自然しぜん場合ばあいおおい。

分子軌道法ぶんしきどうほうmolecular orbital methodでは、原子軌道げんしきどうatomic orbital材料ざいりょうにし、それらの線形結合せんけいけつごうlinear combinationとして分子軌道ぶんしきどうmolecular orbitalつくる。分子ぶんし結合けつごうは、その分子軌道ぶんしきどうmolecular orbital電子でんしれたときに安定化あんていかこるかどうかでむ。

data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/変分法とLCAO近似-講義.n.md data/lecture/chemistry/theoretical/化学結合の基本-講義.n.md

直感的ちょっかんてき説明せつめい

2 つのなみかさねると、やまやまかさなる場所ばしょではつよい、やまたにかさなる場所ばしょではう。

原子軌道げんしきどうatomic orbital波動関数はどうかんすうwave functionなので、おなかんがえが使つかえる。同位相どういそうすと、かくかくあいだ電子密度でんしみつどelectron densityえる。この電子密度でんしみつどふたつの原子核げんしかく同時どうじきつけるので、結合けつごうつよめる。

逆位相ぎゃくいそうくと、かくかくあいだふししょうじ、電子密度でんしみつどelectron densityる。この状態じょうたい電子でんしはいると、結合けつごうよわめる。

LCAO近似きんじlinear combination of atomic orbitals approximationとしての分子軌道ぶんしきどう

2 つの原子軌道げんしきどうatomic orbital ϕA,ϕB から分子軌道ぶんしきどうmolecular orbitalつくる。

ψ=cAϕA+cBϕB

ここで cA,cBかたあらわ係数けいすうである。

cA[1;1],cB[1;1]

同種二原子分子どうしゅにげんしぶんしもっと単純たんじゅん場合ばあいには、対称たいしょうわせと反対称はんたいしょうわせが自然しぜんあらわれる。

ψ+=N+(ϕA+ϕB)
ψ-=N-(ϕA-ϕB)

N+N-規格化定数きかくかていすうnormalization constantであり、確率かくりつprobability総和そうわが 1 になるようにえらぶ。

|ψ±|2dτ=1

結合性軌道けつごうせいきどうbonding orbital反結合性軌道はんけつごうせいきどうantibonding orbital

ψ+ では、2 つの原子軌道げんしきどうatomic orbitalおな符号ふごうかさなる。核間かくかん電子密度でんしみつどelectron densityえるため、電子でんし両方りょうほう原子核げんしかくきつける。この状態じょうたいエネルギーenergyげやすいので、結合性軌道けつごうせいきどうbonding orbitalぶ。

ψ+核間の電子密度が増える

ψ- では、2 つの原子軌道げんしきどうatomic orbitalぎゃく符号ふごうかさなる。核間かくかんふししょうじ、電子密度でんしみつどelectron densityる。この状態じょうたい結合けつごうよわめやすいので、反結合性軌道はんけつごうせいきどうantibonding orbitalぶ。

ψ-核間に節ができる

反結合性軌道はんけつごうせいきどうには、記号きごうとして *けることがおおい。たとえば、σ1s対応たいおうする反結合性軌道はんけつごうせいきどうσ1s*く。

エネルギーenergy分裂ぶんれつをどうむか

2 つの原子軌道げんしきどうatomic orbitalぜると、通常つうじょう 2 つの分子軌道ぶんしきどうmolecular orbitalしょうじる。材料ざいりょうかず結果けっか軌道きどうかず対応たいおうする。

2atomicorbitals2molecularorbitals

ひくほう結合性軌道けつごうせいきどうbonding orbitalたかほう反結合性軌道はんけつごうせいきどうantibonding orbitalである。この分裂ぶんれつは、永年方程式えいねんほうていしきsecular equation

det(H-ES)=0

くことでられる。したがって、分子軌道法ぶんしきどうほうmolecular orbital methodは、化学結合かがくけつごうであると同時どうじに、固有値問題こゆうちもんだいeigenvalue problemでもある。

data/lecture/math/linear-algebra/固有値と固有ベクトル-講義.n.md

電子でんしれる規則きそく

分子軌道ぶんしきどうmolecular orbitalられたら、電子でんしひくエネルギーenergy軌道きどうかられる。

1 つの軌道きどうorbitalには、きのことなるスピンspinをもつ電子でんし最大さいだい 2 まではいる。これはPauli排他原理はいたげんりPauli exclusion principle対応たいおうする。

おなエネルギーenergy軌道きどうorbital複数ふくすうあるときは、電子でんしどうしの反発はんぱつちいさくするように、まず別々べつべつ軌道きどうはいる。この規則きそくHund規則きそくHund's ruleとして整理せいりされる。

結合次数けつごうじすうbond order

分子軌道法ぶんしきどうほうmolecular orbital methodでは、結合けつごうつよさの目安めやすとして結合次数けつごうじすうbond order使つかう。

bondorder=Nb-Na2

ここで Nb結合性軌道けつごうせいきどうbonding orbitalはいった電子数でんしすうNa反結合性軌道はんけつごうせいきどうantibonding orbitalはいった電子数でんしすうである。

Nb[1;1],Na[1;1]

結合次数けつごうじすうbond orderおおきいほど、単純たんじゅん見方みかたでは結合けつごうつよく、みじかくなりやすい。結合次数けつごうじすうが 0 なら、結合性けつごうせい反結合性はんけつごうせい効果こうかう。

具体例ぐたいれい: H2H2+He2

H2 では、水素原子すいそげんし 2 から電子でんしが 2 る。この 2 ひく結合性軌道けつごうせいきどうbonding orbitalはいる。

σ1s2

したがって、

Nb=2,Na=0

である。結合次数けつごうじすうつぎになる。

2-02=1

これは、H2単結合たんけつごうとして安定あんていしやすいことに対応たいおうする。

H2+ では電子でんしが 1 だけである。

σ1s1

したがって、

Nb=1,Na=0

となり、結合次数けつごうじすうつぎである。

1-02=12

電子でんし 1 でも、核間かくかん電子密度でんしみつどelectron densityやすため、結合けつごうしょうじる。ただし、H2 よりよわいとむ。

He2 では電子でんしが 4 ある。2 結合性軌道けつごうせいきどうbonding orbitalはいり、のこり 2 反結合性軌道はんけつごうせいきどうantibonding orbitalはいる。

σ1s2σ1s*2

したがって、

Nb=2,Na=2

であり、結合次数けつごうじすうつぎになる。

2-22=0

このため、単純たんじゅん分子軌道法ぶんしきどうほうmolecular orbital methodでは、He2安定あんてい結合けつごうつくりにくいと判断はんだんできる。

なにわり、なにたもたれるか

原子げんしちかづけると、原子軌道げんしきどうatomic orbital分子軌道ぶんしきどうmolecular orbitalわる。このときわるのは、電子でんし状態じょうたいstateひろがり、エネルギーenergy核間かくかん電子密度でんしみつどelectron densityである。

一方いっぽうで、材料ざいりょうにした原子軌道げんしきどうatomic orbitalかずと、られる分子軌道ぶんしきどうmolecular orbitalかず対応たいおうする。また、分子ぶんし全体ぜんたい電子数でんしすうたもたれる。

波動関数はどうかんすうwave function符号ふごうえると、干渉かんしょう仕方しかたわり、結合性軌道けつごうせいきどうbonding orbital反結合性軌道はんけつごうせいきどうantibonding orbitalちがいがまれる。しかし、全体位相ぜんたいいそうだけをける操作そうさでは、|ψ|2わらない。

限界げんかい

この講義こうぎあつかった分子軌道法ぶんしきどうほうmolecular orbital methodは、入口いりぐちとしての模型もけいである。実際じっさい分子ぶんしでは、基底関数きていかんすうえらかた電子相関でんしそうかん原子核げんしかく配置はいち近似きんじ水準すいじゅん結果けっか左右さゆうする。

それでも、この入口いりぐち見方みかた重要じゅうようである。なぜなら、分子ぶんし全体ぜんたいひろがる波動関数はどうかんすうwave function同位相どういそう逆位相ぎゃくいそうかさわせ、結合次数けつごうじすうbond orderという概念がいねんが、後続こうぞく有機化学ゆうきかがく分光ぶんこう理解りかいにも使つかわれるからである。

見分みわけかた

分子軌道法ぶんしきどうほうmolecular orbital method問題もんだいたら、つぎじゅんむ。

  1. 材料ざいりょうになる原子軌道げんしきどうatomic orbitalかず確認かくにんする。
  2. LCAO近似きんじlinear combination of atomic orbitals approximation分子軌道ぶんしきどうmolecular orbitalつくる。
  3. エネルギーenergyひくじゅん電子でんしれる。
  4. 結合性電子でんしbonding electron反結合性電子でんしantibonding electronかずかぞえる。
  5. 結合次数けつごうじすうbond order計算けいさんし、結合けつごう有無うむつよさをむ。

一言ひとことでいうと

分子軌道法ぶんしきどうほうmolecular orbital methodは、電子でんし個々ここ原子げんし固定こていせず、分子ぶんし全体ぜんたいひろがる分子軌道ぶんしきどうmolecular orbitalれて結合けつごう説明せつめいする方法ほうほうである。同位相どういそうかさわせは結合性軌道けつごうせいきどうbonding orbitalを、逆位相ぎゃくいそうかさわせは反結合性軌道はんけつごうせいきどうantibonding orbitalつくり、電子でんしはいかた結合次数けつごうじすうbond orderめる。

演習えんしゅうリンク

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