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水素原子と原子軌道md 814c77f
lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/水素原子と原子軌道-講義.n.md
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水素原子すいそげんし原子軌道げんしきどうhydrogen atom and atomic orbital

なぜ水素原子すいそげんしhydrogen atomあつかうのか

この講義こうぎ中心的ちゅうしんてきいは、電子でんし原子核げんしかくのまわりをまわるというを、どのように波動関数はどうかんすうwave function言葉ことばえるかである。

粒子箱りゅうしばこモデルparticle in a box modelでは、はしえるという境界条件きょうかいじょうけんboundary conditionが、ゆるされるなみえらんだ。水素原子すいそげんしhydrogen atomでは、はこかべではなく、原子核げんしかく正電荷せいでんか電子でんしきつけるポテンシャルエネルギーpotential energy条件じょうけんになる。

重要じゅうようなのは、原子軌道げんしきどうatomic orbital電子でんしとおみちまないことである。原子軌道げんしきどうatomic orbitalは、水素原子すいそげんしハミルトニアンHamiltonianゆる波動関数はどうかんすうwave functionであり、その絶対値二乗ぜったいちにじょう電子でんし確率密度かくりつみつどprobability densityあたえる。

data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/波動関数と確率解釈-講義.n.md data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/粒子箱モデル-講義.n.md

直感的ちょっかんてき説明せつめい

古典的こてんてきでは、電子でんし惑星わくせいのように原子核げんしかくのまわりをまわる。しかし、この電子でんしがどこに存在そんざいしやすいか、なぜエネルギーenergyびになるかを自然しぜん説明せつめいしない。

量子化学りょうしかがくquantum chemistryでは、電子でんしてんとして追跡ついせきするわりに、三次元空間さんじげんくうかんひろがる状態じょうたいstateとしてあつかう。その状態じょうたいあらわ関数かんすう

ψ(r,θ,ϕ)

である。ここで r原子核げんしかくからの距離きょりθ,ϕきをあらわかくである。

r[m;L],θ[1;1],ϕ[1;1]

s 軌道きどうorbitalきゅうのように全方向ぜんほうこうおなかたちひろがる。p 軌道きどうorbital方向ほうこうのようなかたちをもつ。ただし、これは電子でんしがそのせんうえはしるという意味いみではない。|ψ|2おおきい領域りょういき可視化かしかしているとむ。

厳密げんみつ設定せってい

水素原子すいそげんしは、原子核げんしかく 1 電子でんし 1 からなる。ここでは原子核げんしかく空間くうかん原点げんてん固定こていし、電子でんしだけの運動うんどうかんがえる。このあつかいは、原子核げんしかく電子でんしよりずっとおもいという事実じじつささえられている。

電子でんし質量しつりょう電荷でんかつぎのようにく。

me[kg;M],e[C;IT]

真空しんくう誘電率ゆうでんりつ換算かんさんPlanck定数ていすうreduced Planck constantは、つぎ単位たんい次元じげんつ。

ε0[C2/(Nm2);I2T4M-1L-3],[Js;ML2T-1]

原子核げんしかくからの距離きょりr とすると、電子でんしけるポテンシャルエネルギーpotential energyつぎである。

V(r)=-e24πε0r,V(r)[J;ML2T-2]

単位たんい対応たいおう確認かくにんすると、1/(4πε0) は Coulomb 定数ていすう対応たいおうし、

14πε0[Nm2/C2;ML3T-4I-2]

である。これに e2[C2;I2T2]け、r[m;L]ると、

e24πε0r[Nm;ML2T-2]

となり、エネルギーenergy単位たんい次元じげん一致いっちする。

ここでは rっているため、r=0 をそのまま代入だいにゅうしない。原子核げんしかく位置いちでは、波動関数はどうかんすう物理的ぶつりてきゆるされるいをもつことをべつ要求ようきゅうする。

非相対論的ひそうたいろんてきハミルトニアンHamiltonianつぎである。

H^=-22me2-e24πε0r

ここでLaplacianLaplacian空間くうかんについて 2 かい微分びぶんする演算子えんざんしoperatorなので、

2[m-2;L-2]

である。したがって、運動うんどうエネルギーこう

22me2[J;ML2T-2]

となり、Coulomb 引力いんりょくこうおなじくエネルギーenergy次元じげんつ。

したがって、時間じかん依存いぞんしないSchrodinger方程式ほうていしきSchrodinger equationつぎになる。

H^ψ=Eψ,E[J;ML2T-2]

このかたちは、線形代数せんけいだいすう固有値問題こゆうちもんだいeigenvalue problemおなじである。ちがいは、行列ぎょうれつではなく微分演算子びぶんえんざんし関数かんすう作用さようするてんである。

data/lecture/math/linear-algebra/固有値と固有ベクトル-講義.n.md

なぜ球座標きゅうざひょうけるのか

水素原子すいそげんしhydrogen atomポテンシャルエネルギーpotential energyr だけに依存いぞんし、きには直接ちょくせつ依存いぞんしない。つまり、原子核げんしかく中心ちゅうしんとする球対称きゅうたいしょう問題もんだいである。

この対称性たいしょうせいわせて、波動関数はどうかんすうwave function半径方向はんけいほうこう角度方向かくどほうこうける。

ψ(r,θ,ϕ)=R(r)Ylml(θ,ϕ)

R(r)原子核げんしかくからの距離きょりかんする部分ぶぶんであり、Ylmlきにかんする部分ぶぶんである。Ylml球面調和関数きゅうめんちょうわかんすうspherical harmonicばれる。

この分離ぶんりたんなる計算技法けいさんぎほうではない。球対称きゅうたいしょう条件じょうけんでは、距離きょりまるひろがりと、きでまるかたちけて理解りかいできる、という構造こうぞう反映はんえいしている。

data/lecture/math/multivariable-calculus/多変数関数の基本-講義.n.md

量子数りょうしすうquantum number範囲はんい

水素原子すいそげんしhydrogen atomかいは、3 種類しゅるい量子数りょうしすうquantum number整理せいりされる。

量子数quantum number記号きごうゆるされる範囲はんいおも意味いみ
主量子数しゅりょうしすうprincipal quantum numbernn=1,2,3,エネルギーenergyひろがり
方位量子数ほういりょうしすうazimuthal quantum numberll=0,1,,n-1軌道きどうorbitalかたち
磁気量子数じきりょうしすうmagnetic quantum numbermlml=-l,-l+1,,l軌道きどうorbital

ここで n=0ゆるされない。エネルギーenergy

En=-13.6[eV;ML2T-2]n2

かたちつため、n=0 ではれいによる除算じょざんになる。また、波動関数はどうかんすうとしても規格化きかくかされた物理状態ぶつりじょうたいあたえない。

l範囲はんい0 から n-1 までにかぎられることは、角度方向かくどほうこう半径方向はんけいほうこうかい同時どうじ規格化可能きかくかかのうでなければならないことからる。ml範囲はんいは、空間くうかん一周いっしゅうしたときに波動関数はどうかんすうwave function一価いっかであることに関係かんけいする。

具体例ぐたいれい: 1s2pくらべる

1s 軌道きどうorbitalでは、

n=1,l=0,ml=0

である。l=0 なので角度方向かくどほうこうかたよりがなく、球対称きゅうたいしょうになる。Bohr半径はんけいBohr radius

a0[m;L]

とすると、1s 軌道きどうorbital代表的だいひょうてきかたちつぎである。

ψ1s(r)=1πa03e-r/a0,ψ1s[m-3/2;L-3/2]

r/a0ながさをながさでったりょうなので無次元量むじげんりょうであり、指数関数しすうかんすう引数ひきすうとして適切てきせつである。

一方いっぽう2p 軌道きどうorbitalでは、

n=2,l=1,ml=-1,0,1

である。l=1 なのできをもつかたちあらわれる。たとえば 2pz は、概略的がいりゃくてきつぎ角度依存かくどいぞんつ。

ψ2pz(r,θ,ϕ)re-r/(2a0)cosθ

このしきは、z じく方向ほうこう逆方向ぎゃくほうこう電子密度でんしみつどひろがり、あいだ節面せつめんあらわれることをしめす。

なにわり、なにたもたれるか

nえると、エネルギーenergy軌道きどうひろがりがわる。水素原子すいそげんしでは、おなn をもつ状態じょうたいは、こまかな相互作用そうごさよう無視むしすればおなエネルギーenergyをもつ。

lえると、軌道きどうorbitalかたちわる。spd という名前なまえは、おもにこの lちがいを反映はんえいしている。

mlえると、空間くうかんでのきがわる。外部磁場がいぶじばがない理想的りそうてき水素原子すいそげんしでは、きのちがいだけではエネルギーenergyわらないことがある。

全体位相ぜんたいいそうけても、確率密度かくりつみつどprobability densityわらない。

ψeiαψ|ψ|2は変わらない

限界げんかいつぎへの接続せつぞく

水素原子すいそげんしhydrogen atom電子でんしが 1 なので、電子でんしどうしの反発はんぱつかんがえなくてよい。このため、解析的かいせきてきくわしくける。

多電子原子たでんしげんし分子ぶんしでは、電子でんしどうしの反発はんぱつはいるため、おなじようにじたかたちくことはむずかしい。そこで、水素原子すいそげんし原子軌道げんしきどうatomic orbital材料ざいりょうとして、変分法へんぶんほうvariational methodLCAO近似きんじlinear combination of atomic orbitals approximationすすむ。

data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/変分法とLCAO近似-講義.n.md

見分みわけかた

原子軌道げんしきどうatomic orbitalたら、まず電子でんし通路つうろではなく、波動関数はどうかんすうwave functionとしてむ。そのかたちるときは、符号ふごうふし確認かくにんする。電子でんし存在そんざいしやすさをるときは、|ψ|2確認かくにんする。

量子数りょうしすうquantum numberあたえられたら、つぎじゅんむ。

  1. nエネルギーenergyひろがりをむ。
  2. lかたちむ。
  3. mlきをむ。

一言ひとことでいうと

水素原子すいそげんしhydrogen atomは、原子核げんしかくつくポテンシャルエネルギーpotential energyなかで、電子でんし波動関数はどうかんすうwave functionゆるされるかたちえらばれる問題もんだいである。原子軌道げんしきどうatomic orbital電子でんしみちではなく、確率密度かくりつみつどprobability density状態じょうたいstateかたちである。

演習えんしゅうリンク

data/exercise/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/量子化学基本演習-問題演習.n.md data/exercise/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/量子化学標準演習-問題演習.n.md

関連かんれんリンク

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