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量子化学基本演習-問題演習md 94daa5a
exercise/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/量子化学基本演習-問題演習.n.md
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量子化学りょうしかがくquantum chemistry基本演習きほんえんしゅう-問題演習もんだいえんしゅう

この演習えんしゅうは、波動関数はどうかんすうwave functionを「電子でんし位置いち直接ちょくせつえがせん」ではなく、確率密度かくりつみつどprobability densityつく関数かんすうとしてあつかえるかを確認かくにんする。後半こうはんでは、Schrodinger方程式ほうていしきSchrodinger equation波動関数はどうかんすうwave functionエネルギーenergyえら条件じょうけんであることを、粒子箱りゅうしばこparticle in a box水素原子すいそげんしhydrogen atomLCAO近似きんじlinear combination of atomic orbitals approximation分子軌道ぶんしきどうmolecular orbital接続せつぞくする。

このページの問題もんだい解答かいとうは、ほんページよう新規しんき作成さくせいした完全かんぜんオリジナルの演習えんしゅうである。

data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/波動関数と確率解釈-講義.n.md data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/シュレーディンガー方程式の基本-講義.n.md

問題もんだい 1:波動関数はどうかんすうwave function規格化きかくかnormalization

0<x<L において

ψ(x)=Ax(L-x)

であり、それ以外いがいでは ψ(x)=0 とする。ここで L[m;L]>0はこながさ、x[m;L]位置いちである。A実数じっすうせいとしてよい。

(1) ψ規格化きかくかnormalizationする Aもとめよ。

(2) x=L/2 における確率密度かくりつみつどprobability density ρ(x)=|ψ(x)|2もとめよ。

(3) Δx[m;L]Lくらべて十分じゅうぶんちいさいとき、x=L/2ちかくのはば Δx電子でんしいだされる確率かくりつ近似きんじせよ。

手掛てがかり

規格化きかくかnormalizationでは、全空間ぜんくうかんでの確率かくりつprobability総和そうわを 1 にする。

解答かいとう

規格化きかくかnormalization条件じょうけんは、-|ψ(x)|2dx=1 である。この公式こうしきは、|ψ(x)|2 が 1 次元じげん確率密度かくりつみつどprobability densityであり、位置いちについて積分せきぶんすると確率かくりつprobabilityになるときに使用しようできる。いま ψ(x)0<x<L でのみ非零ひれいなので、この条件じょうけん適用てきようできる。

1=0L|Ax(L-x)|2dx=A20Lx2(L-x)2dx

積分せきぶん展開てんかいして計算けいさんする。

0Lx2(L-x)2dx=0L(L2x2-2Lx3+x4)dx
=L2L33-2LL44+L55=L5(13-12+15)=L530

したがって

1=A2L530A2=30L5

Aせいとしてよいので、

A=30L5/2[m-5/2;L-5/2]

る。A単位たんいは、x(L-x)m2 をもつため、ψ が 1 次元じげん波動関数はどうかんすうwave functionとして m-1/2 になるようにまる。

(2) x=L/2 では

ψ(L2)=30L5/2·L2·L2=304L[m-1/2;L-1/2]

よって

ρ(L2)=|ψ(L2)|2=3016L=158L[m-1;L-1]

である。

(3) Δx十分じゅうぶんちいさいなら、はば Δx範囲はんい確率密度かくりつみつどprobability densityがほぼ一定いってい近似きんじできる。この近似きんじは、ψ(x) がそのせま範囲はんい急変きゅうへんしないときに使用しようできる。

Pρ(L2)Δx=158L[m-1;L-1]×Δx[m;L]=15Δx8L[1;1]

解説かいせつ

この問題もんだいは、波動関数はどうかんすうwave functionそのものではなく、|ψ|2確率密度かくりつみつどprobability densityであることを確認かくにんする演習えんしゅうである。規格化きかくかnormalizationは「なみかたちととのえる操作そうさ」ではなく、「全確率ぜんかくりつを 1 にする操作そうさ」である。

data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/波動関数と確率解釈-講義.n.md

失敗しっぱい分類ぶんるい

  • 前提ぜんてい理解りかい不足ふそくψ をそのまま確率かくりつprobabilityむ。ただしくは |ψ|2確率密度かくりつみつどprobability densityである。
  • 適用てきよう条件じょうけんミス|ψ|2dx=1積分せきぶん範囲はんい0<x<L制限せいげんしない。今回こんかいψはこそとで 0 であるため、0 から L まででよい。
  • 単位たんいミスA無次元むじげんあつかう。ψ次元じげんたもつため、A には L-5/2次元じげん必要ひつようである。

よくあるあやま

  • 確率密度かくりつみつどprobability density確率かくりつprobability混同こんどうするρ(L/2)=15/(8L) は 1 をえることがありうるが、これは確率密度かくりつみつどprobability densityなので問題もんだいではない。確率かくりつprobability区間くかん積分せきぶんした無次元量むじげんりょうである。

問題もんだい 2:Schrodinger方程式ほうていしきSchrodinger equation粒子箱りゅうしばこparticle in a box

0 から L[m;L] までの 1 次元じげん無限深井戸むげんふかいどinfinite potential wellかんがえる。はこ内部ないぶではポテンシャルエネルギーを 0[J;ML2T-2] とし、境界きょうかいでは ψ(0)=ψ(L)=0 とする。

ψn(x)=2LsinnπxL

あたえられている。ただし n=1,2,3, である。

(1) ψn境界条件きょうかいじょうけんたすことを確認かくにんせよ。

(2) 時間じかん依存いぞんしないSchrodinger方程式ほうていしきSchrodinger equation

-22md2ψdx2=Eψ

ψn代入だいにゅうし、エネルギーenergy Enもとめよ。ここで m[kg;M]粒子りゅうし質量しつりょう[Js;ML2T-1]換算かんさんプランク定数ていすうreduced Planck constantである。

手掛てがかり

2 階微分かいびぶんsin(nπx/L)もと関数かんすう定数倍ていすうばいもどる。

解答かいとう

(1) 境界条件きょうかいじょうけんは、はこかべ波動関数はどうかんすうwave functionが 0 になるという条件じょうけんである。いま

ψn(0)=2Lsin0=0

である。また、

ψn(L)=2Lsin(nπ)=0

である。nせい整数せいすうであるため、sin(nπ)=0成立せいりつする。

(2) はこ内部ないぶでポテンシャルエネルギーが 0 なので、運動うんどうエネルギーこうだけのハミルトニアンHamiltonian使用しようできる。このしきは、粒子りゅうしはこ内部ないぶにあり、境界条件きょうかいじょうけんかべ表現ひょうげんしているときに適用てきようできる。

1 階微分かいびぶんと 2 階微分かいびぶん

dψndx=2LnπLcosnπxL
d2ψndx2=-(nπL)22LsinnπxL=-(nπL)2ψn

である。これをSchrodinger方程式ほうていしきSchrodinger equation代入だいにゅうする。

-22md2ψndx2=-22m[-(nπL)2ψn]=n2π222mL2ψn

したがって

En=n2π222mL2[J;ML2T-2]

である。単位たんい

2mL2(Js)2kgm2=J

となり、エネルギーenergy単位たんい一致いっちする。

解説かいせつ

この問題もんだいでは、Schrodinger方程式ほうていしきSchrodinger equationを「微分方程式びぶんほうていしきしき」としてだけでなく、「ゆるされる波動関数はどうかんすうwave functionエネルギーenergy同時どうじえら固有値問題こゆうちもんだい」としてむ。境界条件きょうかいじょうけんn整数せいすう制限せいげんし、その結果けっかとしてエネルギーenergy離散的りさんてきになる。

data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/シュレーディンガー方程式の基本-講義.n.md data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/粒子箱モデル-講義.n.md

失敗しっぱい分類ぶんるい

  • 見分みわけミスSchrodinger方程式ほうていしきSchrodinger equationたんなる時間発展じかんはってんしきとしてだける。ここでは定常状態ていじょうじょうたい固有値問題こゆうちもんだいeigenvalue problemである。
  • 公式こうしき適用てきようミスd2dx2sin(kx)=-k2sin(kx)負号ふごうとす。
  • 適用てきよう条件じょうけんミスn=0ゆるす。n=0 では ψ0=0 となり、規格化きかくかnormalizationできないため波動関数はどうかんすうwave functionではない。

よくあるあやま

  • エネルギーenergyn比例ひれいするとかんがえるEnn2比例ひれいする。これは 2 階微分かいびぶんにより (nπ/L)2あらわれるためである。

問題もんだい 3:粒子箱りゅうしばこparticle in a box遷移せんいエネルギー

電子でんしながL=1.00×10-9[m;L] の 1 次元じげん粒子箱りゅうしばこparticle in a boxめる。me=9.11×10-31[kg;M]=1.055×10-34[Js;ML2T-1] とする。

(1) n=1 から n=2 への遷移せんい必要ひつようエネルギーenergy ΔEJもとめよ。

(2) 1[eV;ML2T-2]=1.602×10-19[J;ML2T-2] として、ΔEeV換算かんさんせよ。

(3) L を 2 ばいにすると、ΔE何倍なんばいになるか。

手掛てがかり

粒子箱りゅうしばこparticle in a boxでは Enn2/L2 である。

解答かいとう

粒子箱りゅうしばこparticle in a boxエネルギーenergy

En=n2π222meL2

である。この公式こうしきは、はこ内部ないぶでポテンシャルエネルギーが一定いっていで、かべ無限大むげんだいポテンシャルとしてあつか模型もけい適用てきようできる。いま問題もんだいぶんが 1 次元じげん粒子箱りゅうしばこparticle in a box指定していしているため、この公式こうしき使用しようできる。

(1) 遷移せんいエネルギーは

ΔE=E2-E1=(22-12)π222meL2=3π222meL2

である。代入だいにゅうする。

ΔE=3π2(1.055×10-34[Js;ML2T-1])22(9.11×10-31[kg;M])(1.00×10-9[m;L])2
ΔE1.81×10-19[J;ML2T-2]

単位たんい

2meL2(Js)2kgm2=J

となる。

(2) eV への換算かんさんは、おなエネルギーenergyべつ単位たんいあらわ操作そうさである。

ΔE=1.81×10-19[J;ML2T-2]×1[eV;ML2T-2]1.602×10-19[J;ML2T-2]1.13[eV;ML2T-2]

(3) EnL-2 であるため、L を 2 ばいにすると

ΔE122ΔE=14ΔE

となる。

解説かいせつ

粒子箱りゅうしばこparticle in a boxは、confinementエネルギーenergy間隔かんかくむことを最小さいしょう模型もけいしめす。はこみじかいほど波動関数はどうかんすうwave functionきゅうがるため、2 階微分かいびぶん由来ゆらいする運動うんどうエネルギーこうおおきくなる。これは「せま場所ばしょめるほどエネルギーenergyたかくなる」という量子化りょうしかquantization見方みかたである。

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失敗しっぱい分類ぶんるい

  • 公式こうしき適用てきようミスΔEE2 だけで計算けいさんする。遷移せんいtransition必要ひつようなのは E2-E1 である。
  • 計算けいさんミス22-12=1 としてしまう。ただしくは 4-1=3 である。
  • 前提ぜんてい理解りかい不足ふそくLおおきくするとエネルギーenergyおおきくなるとかんがえる。実際じっさいには EnL-2 である。

よくあるあやま

  • JeVしたり比較ひかくしたりする:どちらもエネルギーenergy単位たんいだが、換算かんさんしてから比較ひかくする必要ひつようがある。

問題もんだい 4:水素原子すいそげんしhydrogen atom確率密度かくりつみつどprobability density

水素原子すいそげんしhydrogen atom1s 原子軌道げんしきどうatomic orbitalを、球対称きゅうたいしょう波動関数はどうかんすうwave function

ψ1s(r)=1πa03e-r/a0

あらわす。ここで r[m;L]原子核げんしかくからの距離きょりa0[m;L]ボーア半径はんけいBohr radiusである。

(1) ψ1s|ψ1s|2単位たんい次元じげんこたえよ。

(2) r=0 における確率密度かくりつみつどprobability densityもとめよ。

(3) 半径はんけい r から r+drうす球殻きゅうかく電子でんしいだす確率かくりつは、4πr2|ψ1s(r)|2dr比例ひれいする。この球殻きゅうかくでの動径確率密度どうけいかくりつみつどradial probability density最大さいだいとなる rもとめよ。

手掛てがかり

てんでの確率密度かくりつみつどprobability densityと、半径はんけいごとの動径確率密度どうけいかくりつみつどradial probability densityおなりょうではない。

解答かいとう

(1) 3 次元じげんでは、規格化きかくかnormalization条件じょうけん

|ψ(r)|2dτ=1

である。dτ[m3;L3]体積要素たいせきようそであるため、|ψ|2m-3単位たんいをもつ必要ひつようがある。したがって

ψ1s[m-3/2;L-3/2]

であり、

|ψ1s|2[m-3;L-3]

である。

(2) r=0代入だいにゅうすると

ψ1s(0)=1πa03[m-3/2;L-3/2]

なので、

|ψ1s(0)|2=1πa03[m-3;L-3]

である。

(3) 動径確率密度radial probability density

R(r)=4πr2|ψ1s(r)|2=4πr21πa03e-2r/a0=4r2a03e-2r/a0

である。R(r)[m-1;L-1]dr[m;L]けると無次元むじげん確率かくりつprobabilityになる。

R(r)最大さいだいもとめるには、せい定数ていすう 4/a03のぞき、r2e-2r/a0微分びぶんすればよい。

ddr(r2e-2r/a0)=2re-2r/a0-2a0r2e-2r/a0
=2re-2r/a0(1-ra0)

したがって臨界点りんかいてんr=0r=a0 である。R(0)=0 であり、r では R(r)0 なので、最大さいだい

r=a0[m;L]

達成たっせいされる。

解説かいせつ

この問題もんだいは、水素原子すいそげんしhydrogen atom原子軌道げんしきどうatomic orbitalを「電子でんしまわ軌道きどう」ではなく、確率密度かくりつみつどprobability densityあたえる波動関数はどうかんすうwave functionとしてむための確認かくにんである。|ψ1s|2r=0最大さいだいだが、半径はんけいごとの球殻きゅうかくには 4πr2 という体積たいせき効果こうかはいる。そのため、もっといだされやすい半径はんけいr=a0 になる。

data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/水素原子と原子軌道-講義.n.md

失敗しっぱい分類ぶんるい

  • 前提ぜんてい理解りかい不足ふそく原子軌道げんしきどうatomic orbital古典的こてんてき円軌道えんきどう同一視どういつしする。原子軌道げんしきどうatomic orbital波動関数はどうかんすうwave functionかたちである。
  • 見分みわけミス|ψ|2最大さいだい4πr2|ψ|2最大さいだい混同こんどうする。
  • 公式こうしき適用てきようミスe-r/a0二乗にじょうe-r/a0 のままにする。ただしくは |e-r/a0|2=e-2r/a0 である。

よくあるあやま

  • 確率密度かくりつみつどprobability density最大さいだいだからかく位置いちもっとおおい」と結論けつろんするてんそのものの体積たいせきは 0 である。観測かんそくされる確率かくりつ確率密度かくりつみつどprobability density体積要素たいせきようそけてる。

問題もんだい 5:LCAO近似きんじlinear combination of atomic orbitals approximation規格化きかくかnormalization

2 つの原子軌道げんしきどうatomic orbital ϕAϕB は、それぞれ規格化きかくかnormalizationされているとする。

|ϕA|2dτ=1,|ϕB|2dτ=1

また、かさなり積分せきぶん

S=ϕAϕBdτ

とする。ϕA,ϕB実関数じつかんすうで、0<S<1 とする。

(1) ψ+=N+(ϕA+ϕB)規格化きかくかnormalizationする N+もとめよ。

(2) ψ-=N-(ϕA-ϕB)規格化きかくかnormalizationする N-もとめよ。

(3) ψ+ψ- のどちらが、核間かくかん電子密度でんしみつどelectron densityやしやすいかを説明せつめいせよ。

手掛てがかり

二乗にじょうしたとき、交差項こうさこうS としてあらわれる。

解答かいとう

原子軌道げんしきどうatomic orbitalは 3 次元じげん波動関数はどうかんすうwave functionなので、ϕA,ϕBm-3/2単位たんいをもつ。一方いっぽうϕAϕBdτm-3×m3 となるため、S[1;1]無次元量むじげんりょうである。

(1) 規格化normalization条件じょうけん使用しようする。この条件じょうけんは、ψ+ゆるされる波動関数はどうかんすうwave functionであり、全空間ぜんくうかんでの確率かくりつprobabilityを 1 にしたいときに適用てきようできる。

1=|ψ+|2dτ=N+2(ϕA+ϕB)2dτ
=N+2(ϕA2dτ+2ϕAϕBdτ+ϕB2dτ)
=N+2(1+2S+1)=2N+2(1+S)

0<S<1 より 1+S>0 なので、分母ぶんぼは 0 ではない。したがって

N+=12(1+S)[1;1]

である。

(2) 同様どうよう

1=|ψ-|2dτ=N-2(ϕA-ϕB)2dτ
=N-2(1-2S+1)=2N-2(1-S)

0<S<1 より 1-S>0 なので、分母ぶんぼは 0 ではない。したがって

N-=12(1-S)[1;1]

である。

(3) ψ+=N+(ϕA+ϕB) は、2 つの原子軌道げんしきどうatomic orbital同符号どうふごうかさなる領域りょういき波動関数はどうかんすうwave function振幅しんぷくやす。そのため、|ψ+|2核間かくかんおおきくなりやすい。したがって、核間かくかん電子密度でんしみつどelectron densityやしやすいのは ψ+ である。

解説かいせつ

この問題もんだいは、LCAO近似きんじlinear combination of atomic orbitals approximationで「す」「く」がなにえるかを確認かくにんする演習えんしゅうである。すと核間かくかん波動関数はどうかんすうwave functionつよい、くとふししょうじて電子密度でんしみつどelectron densityちいさくなりやすい。ただし、どちらも波動関数はどうかんすうwave functionとしてあつかうには規格化きかくかnormalization必要ひつようである。

data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/変分法とLCAO近似-講義.n.md

失敗しっぱい分類ぶんるい

  • 公式こうしき適用てきようミス(ϕA+ϕB)2交差項こうさこう 2ϕAϕBとす。
  • 適用てきよう条件じょうけんミスS=0勝手かってく。問題もんだいでは 0<S<1あたえられているため、かさなりをのこ必要ひつようがある。
  • 前提ぜんてい理解りかい不足ふそくN+N-エネルギーenergy補正ほせいかんがえる。N±規格化きかくかnormalization係数けいすうであり、全確率ぜんかくりつtotal probabilityを 1 にするためのりょうである。

よくあるあやま

  • N+=N-=12 としてしまう:これは S=0特別とくべつ場合ばあいだけである。軌道きどうかさなると、規格化きかくかnormalization係数けいすうS依存いぞんする。

問題もんだい 6:分子軌道ぶんしきどうmolecular orbitalエネルギーenergy係数けいすうcoefficient

2 つの原子軌道げんしきどうatomic orbital ϕA,ϕB から、分子軌道ぶんしきどうmolecular orbital

ψ=cAϕA+cBϕB

つくる。かさなり積分せきぶん無視むしし、ϕA,ϕBたがいに直交ちょっこうしていると近似きんじする。ハミルトニアンHamiltonian行列要素ぎょうれつようそ

HAA=HBB=α,HAB=HBA=β

とする。α[eV;ML2T-2]β[eV;ML2T-2]エネルギーenergyであり、β<0 とする。

(1) 係数けいすう cA,cBたす固有値方程式こゆうちほうていしきけ。

(2) ゆるされるエネルギーenergy Eもとめよ。

(3) S=0近似きんじ規格化きかくかnormalizationされた分子軌道ぶんしきどうmolecular orbitalを 2 つけ。どちらが結合性軌道けつごうせいきどうbonding orbital説明せつめいせよ。

(4) α=-13.6[eV;ML2T-2]β=-2.0[eV;ML2T-2] のとき、2 つのエネルギーenergyもとめよ。

手掛てがかり

これは 2 次元じげん固有値問題こゆうちもんだいeigenvalue problemである。非自明ひじめい係数けいすうるには、係数行列けいすうぎょうれつ行列式ぎょうれつしきが 0 になる。

解答かいとう

(1) H^ψ=EψϕA,ϕB基底きていあらわす。このしきは、分子軌道ぶんしきどうmolecular orbital原子軌道げんしきどうatomic orbital線形結合せんけいけつごうlinear combination制限せいげんし、かさなりを無視むしする近似きんじのもとで使用しようできる。

(αββα)(cAcB)=E(cAcB)

したがって

(α-E)cA+βcB=0
βcA+(α-E)cB=0

である。

(2) 非自明ひじめいかい、すなわち (cA,cB)(0,0)るには、係数行列けいすうぎょうれつ行列式ぎょうれつしきが 0 でなければならない。

|α-Eββα-E|=0
(α-E)2-β2=0

したがって

α-E=±β

であり、

E=α+β,E=α-β

る。

(3) E=α+β のとき、α-E=-β である。だい 1 しき

-βcA+βcB=0

となる。β0 なので、βることができ、cA=cBる。S=0ϕA,ϕB直交ちょっこうしているため、規格化きかくかnormalizationされた係数けいすう

cA=cB=12[1;1]

である。したがって

ψ+=12(ϕA+ϕB)

である。

E=α-β のとき、α-E=β である。だい 1 しき

βcA+βcB=0

となる。β0 なので、βることができ、cA=-cBる。規格化きかくかnormalizationすると

ψ-=12(ϕA-ϕB)

である。

β<0 なので、α+β<α-β である。したがってひくエネルギーenergyをもつ ψ+結合性軌道けつごうせいきどうbonding orbitalである。ψ+同符号どうふごう線形結合せんけいけつごうlinear combinationであり、核間かくかん電子密度でんしみつどelectron densityやしやすい。

(4) 数値すうち代入だいにゅうすると、

E+=α+β=-13.6[eV;ML2T-2]-2.0[eV;ML2T-2]=-15.6[eV;ML2T-2]
E-=α-β=-13.6[eV;ML2T-2]-(-2.0[eV;ML2T-2])=-11.6[eV;ML2T-2]

である。

解説かいせつ

この問題もんだいは、分子軌道法ぶんしきどうほうmolecular orbital methodSchrodinger方程式ほうていしきSchrodinger equation行列ぎょうれつ固有値問題こゆうちもんだいeigenvalue problemとして近似きんじしていることを確認かくにんする演習えんしゅうである。LCAO近似きんじlinear combination of atomic orbitals approximationでは、未知みち波動関数はどうかんすうwave functionそのものを無限むげんさがすのではなく、えらんだ原子軌道げんしきどうatomic orbital係数けいすうめる問題もんだい置換ちかんしている。

data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/分子軌道法の入口-講義.n.md data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/変分法とLCAO近似-講義.n.md

失敗しっぱい分類ぶんるい

  • 見分みわけミス分子軌道ぶんしきどうmolecular orbital各原子かくげんし局在きょくざいした電子でんし軌道きどうかんがえる。分子軌道ぶんしきどうmolecular orbital分子ぶんし全体ぜんたいひろがる波動関数はどうかんすうwave functionである。
  • 公式こうしき適用てきようミスβ<0 のとき、α+βひくエネルギーenergyであることを見落みおとす。
  • 計算けいさんミスE-=α-β で、βであることをわすれ、-13.6-2.0計算けいさんする。

よくあるあやま

  • すからエネルギーenergyたかい」とかんがえる分子軌道ぶんしきどうmolecular orbital高低こうていざんではなく、ハミルトニアンHamiltonian行列要素ぎょうれつようそ固有値こゆうちまる。今回こんかいのように β<0 なら、同符号どうふごう結合けつごうひくエネルギーenergyになる。

講義こうぎリンク

data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/量子化学ポータル-講義.n.md data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/量子化学の入口-講義.n.md data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/波動関数と確率解釈-講義.n.md data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/シュレーディンガー方程式の基本-講義.n.md data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/粒子箱モデル-講義.n.md data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/水素原子と原子軌道-講義.n.md data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/変分法とLCAO近似-講義.n.md data/lecture/chemistry/theoretical/quantum-chemistry/分子軌道法の入口-講義.n.md
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