markdown
基本変形と連立一次方程式-基本演習md bc69334
exercise/math/linear-algebra/基本変形と連立一次方程式-基本演習.n.md
Download as PDF
基本変形と連立一次方程式-基本演習
mathlinear-algebraexerciserow-operationcolumn-operation
data/lecture/math/linear-algebra/連立一次方程式と拡大係数行列-講義.n.md
data/lecture/math/linear-algebra/行基本変形の基本-講義.n.md
data/lecture/math/linear-algebra/列基本変形の基本-講義.n.md
data/lecture/math/linear-algebra/連立一次方程式と掃き出し法-講義.n.md
演習方針
行基本変形は方程式を同値に変形するので、解集合を保存する。列基本変形は列空間と階数を保存するが、未知数の意味を変える。
このファイルでは入口として、何を保存し何を変えるかを確認する。階段形、掃き出し、列基本変形の詳細は関連演習へ分割している。
問題 1
連立一次方程式
\begin{cases}
x+2y=5,\\
3x+4y=11
\end{cases}\begin{cases}
x+2y=5,\\
3x+4y=11
\end{cases}
を拡大係数行列で表し、行基本変形で解け。
解答例
○
\left(\begin{array}{cc|c}
1&2&5\\
3&4&11
\end{array}\right)
\to
\left(\begin{array}{cc|c}
1&2&5\\
0&-2&-4
\end{array}\right)
\to
\left(\begin{array}{cc|c}
1&2&5\\
0&1&2
\end{array}\right)
\to
\left(\begin{array}{cc|c}
1&0&1\\
0&1&2
\end{array}\right)\left(\begin{array}{cc|c}
1&2&5\\
3&4&11
\end{array}\right)
\to
\left(\begin{array}{cc|c}
1&2&5\\
0&-2&-4
\end{array}\right)
\to
\left(\begin{array}{cc|c}
1&2&5\\
0&1&2
\end{array}\right)
\to
\left(\begin{array}{cc|c}
1&0&1\\
0&1&2
\end{array}\right)
したがって x=1、y=2 である。
解説
行基本変形は、方程式どうしを入れ替える、非零定数倍する、一方に他方の倍を加える操作である。いずれも逆操作を持つので、解集合を変えない。
問題 2
\left(\begin{array}{cc|c}
1&-1&2\\
0&0&3
\end{array}\right)\left(\begin{array}{cc|c}
1&-1&2\\
0&0&3
\end{array}\right)
が表す連立一次方程式に解があるかを判定せよ。
解答例
○
第 2 行は
0x+0y=3
を表す。これは成り立たないので、解は存在しない。
解説
零行と矛盾行を区別する。すべての係数が 0 で右辺も 0 なら条件を追加しないが、右辺が 0 でなければ矛盾である。
問題 3
3 種類の行基本変形を列挙し、それぞれが何を保存するかを述べよ。
解答例
○
3 種類は、行の交換、行の非零定数倍、ある行に別の行の定数倍を加える操作である。
いずれも解集合を保存する。
解説
0 倍は行基本変形ではない。0 倍すると行の情報が消え、元に戻せないからである。非零の定数で割る場合は、その定数が 0 でないことが前提である。
問題 4
行列
A=
\begin{pmatrix}
1&2\\
3&4
\end{pmatrix}
に列基本変形 C_2\leftarrow C_2-2C_1 を行う。新しい行列を求め、この操作が列空間と Ax=b に対して何を変えるかを説明せよ。
解答例
○
\begin{pmatrix}
1&0\\
3&-2
\end{pmatrix}
になる。列基本変形は列空間と階数を保存する。しかし Ax=b の未知数の意味はそのままでは保存されない。
解説
列基本変形は、列ベクトルの生成系を別の生成系に取り替える操作である。到達できる出力の集合は変わらないが、各未知数が担当する方向は変わる。
問題 5
\left(\begin{array}{ccc|c}
1&2&-1&0\\
0&1&3&4\\
0&0&0&0
\end{array}\right)\left(\begin{array}{ccc|c}
1&2&-1&0\\
0&1&3&4\\
0&0&0&0
\end{array}\right)
から解集合を読み取れ。
解答例
○
ピボットは第 1 列と第 2 列にある。したがって x_1,x_2 が主変数、x_3 が自由変数である。x_3=t とおくと、
x_2=4-3t,
\qquad
x_1=-8+7t
である。したがって
\begin{pmatrix}x_1\\x_2\\x_3\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}-8\\4\\0\end{pmatrix}
+t
\begin{pmatrix}7\\-3\\1\end{pmatrix}
\qquad (t\in\mathbb R)
である。
解説
階段形は、解の構造を読むための形である。ピボットがない列は自由変数を表し、零行は条件を追加しない。
問題 6
つぎの説明の誤りを指摘せよ。
「A に列基本変形を行って AF にしても階数は変わらない。したがって Ax=b と AFx=b は同じ解集合を持つ。」
解答例
○
階数が保存されることと、解集合が同じであることは別である。AFx=b は A(Fx)=b を意味するので、元の未知数を z=Fx と置けば Az=b になる。したがって、解を比較するには未知数変換を追跡する必要がある。
解説
行基本変形は方程式を同値に変形する。一方、列基本変形は入力側の座標を取り替える。この違いが、保存される対象の違いである。