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化学平衡の基本
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導入
この講義で最重要なのは、化学平衡は「反応が止まった状態」ではなく、「正反応と逆反応の速さが等しくなった状態」だということです。
平衡を静止した状態だと思うと、濃度や圧力を変えたときに、なぜ反応がまた動くのかが見えにくくなります。平衡は動的な釣合いとして見ます。
用語と定義
化学平衡 とは、可逆反応で正反応と逆反応の速さが等しくなった状態です。
平衡定数 とは、平衡状態の組成を表す量です。
方針
まず反応を「右にも左にも進める可逆反応」として見ます。そのうえで、平衡では速さがつり合うことと、濃度や圧力の比として平衡定数が定まることを結びます。
直感的な説明
人が部屋の右側から左側へ移動し、同時に左側から右側へも移動しているとします。1 分あたりに移動する人数が等しければ、部屋の左右の人数は変わりません。化学平衡もこれと同じで、反応は続いていても、見かけの組成が変わらない状態です。
厳密な説明
1. 可逆反応
たとえば
\mathrm{A + B \rightleftharpoons C + D}
のように、正方向にも逆方向にも進む反応を考えます。
2. 平衡
平衡では、正反応の速さと逆反応の速さが等しくなります。
ここで大事なのは、「速さが等しい」のであって、「正反応も逆反応も止まる」わけではないことです。だから平衡に達したあとでも、濃度や圧力を変えれば、再び反応は動きます。
3. 平衡定数
高校化学では、濃度で表した
K=\frac{[\mathrm{C}][\mathrm{D}]}{[\mathrm{A}][\mathrm{B}]}
のような形で整理します。
この式の意味は、「平衡に達したとき、生成物と反応物の割合は任意ではなく、その温度で決まった値に落ち着く」ということです。したがって K は、反応が右へ進みやすいか、左へ戻りやすいかを表す指標として読めます。
一般に
a\mathrm A+b\mathrm B\rightleftharpoons c\mathrm C+d\mathrm D
なら
K=\frac{[\mathrm C]^c[\mathrm D]^d}{[\mathrm A]^a[\mathrm B]^b}
です。つまり係数がそのままべき指数に反映されます。
どこまで成り立つか
ここでは高校化学の範囲として、濃度や圧力で表した平衡定数を使いました。本来は活量まで考える必要がありますが、この段階ではそこまでは立ち入りません。
見分け方
- 可逆反応が出てきたら、まず平衡を疑います。
- 濃度や圧力を変えたときの変化を問うなら、平衡がどう移動するかを考えます。
- 平衡定数の式では、係数に応じてべき乗がつくことに注意します。
最終形
\boxed{\text{平衡}=\text{正反応と逆反応の速さが等しい状態}}
\boxed{K=\frac{[\mathrm{C}][\mathrm{D}]}{[\mathrm{A}][\mathrm{B}]}}
一言でいうと
- 化学平衡は、反応が止まることではなく、両方向の反応がつり合って組成が一定に見える状態です。