lecture/chemistry/theoretical/電気分解とファラデーの法則-講義.n.md
電気分解とファラデーの法則
chemistrytheoreticalhighschoollecture
導入
この講義で最重要なのは、電気分解の量的な計算では、電流や時間をそのまま見るのではなく、まず電気量 Q=It を出し、それを電子の物質量へ結びつけることです。
電気分解の反応は半反応式で整理しますが、量まで求めるには「電子が何 mol 流れたか」を数える必要があります。その橋渡しをするのがファラデーの法則です。
用語と定義
電気量 とは
Q=It
で与えられる量です。
ファラデー定数 とは、1 mol の電子がもつ電気量で、
F=96485.33212\ \mathrm{C\ mol^{-1}}
です。
方針
まず半反応式から、「目的の物質 1 mol を作るのに電子が何 mol 必要か」を読みます。そのあと電気量 Q=It を計算し、n(e^-)=Q/F で電子の物質量へ直します。
直感的な説明
電流は「1 秒あたりにどれだけ電気が流れるか」です。時間を掛ければ、流れた電気量が出ます。その電気量が電子の個数に対応し、半反応式が物質の量へ変換してくれます。
厳密な説明
1. 半反応式を立てる
銅の析出なら
\mathrm{Cu^{2+}+2e^- \rightarrow Cu}
です。つまり銅 1 mol を得るには、電子 2 mol が必要です。
2. 電気量から電子の mol を出す
Q=It
で流れた電気量を求めます。つぎに
n(e^-)=\frac{Q}{F}
で電子の物質量を出します。
3. 目的物質へ変換する
半反応式より、銅の物質量 n(\mathrm{Cu}) は
n(\mathrm{Cu})=\frac{1}{2}n(e^-)=\frac{Q}{2F}
です。さらに質量が欲しければ
m=Mn
で求めます。
見分け方
- 電気分解で量を問われたら、いきなり比例式へ飛ばず、まず半反応式を書きます。
- 電流と時間が与えられたら、最初に Q=It を作ります。
- 電気量が出たら、ファラデー定数で割って電子の mol に直します。
- 電子の mol から目的物質の mol へ移る段階は、半反応式の係数で決まります。
最終形
\boxed{Q=It}
\boxed{n(e^-)=\frac{Q}{F}}
\boxed{\text{半反応式の係数で } n(e^-)\text{ から生成物の mol を出す}}
一言でいうと
- 電気分解の計算は、半反応式で電子の必要量を読み、ファラデーの法則で電気量を mol に直す作業です。