1. 差分を使う理由
数列では変数 n は 1, 2, 3, ... と飛び飛びに動きます。したがって微分
\frac{da}{dn}
をそのまま考えるより、
\Delta a_n=a_{n+1}-a_n
で変化量を見るほうが自然です。
2. 最も基本の形
a_{n+1}=ra_n
なら
a_n=a_1r^{n-1}
です。これは等比数列そのものです。この式は既知の結果として覚えていてもよいですが、差分方程式として読むなら「1 歩 進むごとに前の項を r 倍する」という規則が続くので、
a_2=ra_1,\qquad a_3=ra_2=r^2a_1,\qquad \dots
となり、帰納的に
a_n=a_1r^{n-1}
が自然に出ます。
3. 一次非同次差分方程式
a_{n+1}=ra_n+b
を考えます。まず定数解 \alpha を探すと
\alpha=r\alpha+b
だから
\alpha=\frac{b}{1-r}\qquad (r\ne 1)
です。定数解を探す理由は、「そこに来れば次も同じ値のまま」という基準点を見つけたいからです。その基準点からのずれだけを新しい数列として見ると、定数項 b の効果を消して同次の問題へ直せます。
そこで
c_n=a_n-\alpha
とおくと
c_{n+1}=a_{n+1}-\alpha=ra_n+b-\alpha=r(a_n-\alpha)=rc_n
となります。したがって
c_n=C r^{n-1}
で、
a_n=\alpha+Cr^{n-1}
です。つまり非同次の問題を、平衡点を引くことで同次の問題へ直せます。
ただし r=1 のときは
a_{n+1}=a_n+b
なので、
a_{n+1}-a_n=b
です。これは毎回 b ずつ増えるという意味です。実際、
a_2-a_1=b,\qquad a_3-a_2=b,\qquad \dots,\qquad a_n-a_{n-1}=b
を全部足し合わせると途中の項が打ち消し合って
a_n-a_1=(n-1)b
となるので、
a_n=a_1+(n-1)b
となります。したがって r\ne 1 の公式をそのまま使うのではなく、r=1 は別に扱う必要があります。