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数列級数の基本
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導入
この講義で最重要なのは、級数は「項を足していく操作」そのものではなく、部分和という新たな数列の極限として見るべきだということです。
数列では各項 a_n の振る舞いを見ました。級数では
\sum_{n=1}^{\infty} a_n
のように無限に足すので、そのままでは扱えません。そこで部分和
S_N=\sum_{n=1}^{N} a_n
を作り、S_N の極限として考えます。
用語と定義
級数 とは、数列の項を順に足したものです。
部分和 とは、最初の N 項までを足した
S_N=\sum_{n=1}^{N} a_n
です。
方針
まず級数を直接見るのではなく、部分和 S_N の数列として見ます。これは「無限に足す」とは何かを、極限という既に知っている概念へ落とし込むためです。
そのあと、S_N が収束するかどうかで級数を判断します。つまり、級数の本体は「項の列」ではなく「和の列」です。
直感的な説明
無限に足すといっても、いきなり最後は見えません。だから「1 項まで足したらどうか」「2 項までならどうか」と順に見るしかありません。このとき自然に現れるのが部分和です。
極限は、もともと数列の行き先を調べるための道具でした。そこで級数も、部分和という数列に直してから極限で扱います。これが「級数を部分和で定義する」理由です。
厳密な説明
1. 部分和を作る
級数
\sum_{n=1}^{\infty} a_n
に対して
S_N=\sum_{n=1}^{N} a_n
を定義します。
2. 収束の定義
S_N がある値 S に収束するとき、
\sum_{n=1}^{\infty} a_n = S
と書きます。
3. まず必ず成り立つ必要条件
もし
\sum_{n=1}^{\infty} a_n
が収束するなら、項 a_n は 0 に近づかなければなりません。
なぜなら
a_N=S_N-S_{N-1}
だからです。S_N\to S かつ S_{N-1}\to S なら
a_N=S_N-S_{N-1}\to S-S=0
です。
これは非常に重要ですが、あくまで必要条件です。a_n\to 0 でも級数が発散することはあります。
4. 基本例
等比級数
\sum_{n=0}^{\infty} ar^n
を考えます。部分和を
S_N=a+ar+ar^2+\cdots+ar^N
とおくと、
rS_N=ar+ar^2+\cdots+ar^N+ar^{N+1}
です。ここで引き算すると
S_N-rS_N=a-ar^{N+1}
だから
(1-r)S_N=a(1-r^{N+1})
となり、
S_N=\frac{a(1-r^{N+1})}{1-r}
を得ます。したがって |r|<1 なら r^{N+1}\to 0 なので
\sum_{n=0}^{\infty} ar^n=\frac{a}{1-r}
です。
どこまで成り立つか
等比級数の公式は r\ne 1 で部分和を整理したうえで、さらに無限級数としては |r|<1 のときにだけ収束します。a_n\to 0 も収束の必要条件であって十分条件ではありません。
見分け方
- 級数を見たら、まず部分和を考えます。
- 項 a_n が 0 に近づかないなら、その級数は収束しません。
- 等比の形が見えたら、まず |r|<1 を確認します。
最終形
\boxed{S_N=\sum_{n=1}^{N} a_n}
\boxed{\sum a_n \text{ の収束は } S_N \text{ の極限で決まる}}
一言でいうと
- 級数は、項そのものではなく部分和の数列として見ると整理しやすくなります。