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角運動量の基本
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導入
この講義で最重要なのは、角運動量は回転運動における運動量であり、その時間変化を決めるのが力のモーメントだということです。
直線運動では \frac{d\vec p}{dt}=\vec F を見ました。回転でも同じ構造があり、運動量に対応するのが角運動量です。
用語と定義
角運動量 とは、位置ベクトル \vec r と運動量 \vec p から
\vec L=\vec r\times \vec p
で定義される量です。
力のモーメント とは
\vec\tau=\vec r\times \vec F
で定義される量です。
直感的な説明
回転では、中心から遠いところで横向きに力を加えるほど、回りやすさが大きくなります。この「どれだけ回転させる勢いがあるか」が角運動量で、「どれだけ回転を変えようとするか」が力のモーメントです。
厳密な説明
1. 定義
\vec L=\vec r\times \vec p
です。
この定義が自然なのは、回転では「中心からどれだけ離れているか」と「どちら向きに動いているか」の両方が効くからです。\vec r と \vec p の外積を取ると、中心へ向かう成分は消え、回転を作る横向きの成分だけが残ります。
したがって大きさは
L=rp\sin\theta
です。\vec r と \vec p が平行なら \sin\theta=0 なので L=0 であり、中心へまっすぐ向かう運動は角運動量を持ちません。
2. 時間変化
\frac{d\vec L}{dt}
=\frac{d}{dt}(\vec r\times \vec p)
=\frac{d\vec r}{dt}\times \vec p+\vec r\times \frac{d\vec p}{dt}
です。ここで \frac{d\vec r}{dt}=\vec v、\vec p=m\vec v なので
\vec v\times \vec p=0
となり、
\frac{d\vec L}{dt}=\vec r\times \vec F=\vec\tau
を得ます。
ここで \vec v\times \vec p=0 となる理由は、\vec p=m\vec v が \vec v と平行だからです。同じ向きのベクトルどうしの外積は 0 になります。つまり角運動量の時間変化を作るのは、速度項ではなく力のモーメントです。
固定軸まわりの円運動では \vec r と \vec p が直交するので
L=rp=rmv=mr^2\omega
です。したがって角運動量は、回転では I\omega の形に読める量だと分かります。
3. 保存
したがって
\vec\tau=0 \Rightarrow \frac{d\vec L}{dt}=0
なので
\vec L=\text{const.}
です。
見分け方
- 回転、支点、中心、モーメントが見えたら、角運動量を疑います。
- 外力のモーメントが 0 なら、角運動量保存が使えます。
- 運動量保存と角運動量保存を、どの中心まわりで見ているかで区別します。
どこまで成り立つか
\frac{d\vec L}{dt}=\vec\tau
は、1 点を基準点として測った角運動量と力のモーメントの関係です。したがって、どの点まわりの \vec L と \vec\tau を考えているかを途中で変えないことが大切です。また L=mr^2\omega は、質点が固定半径の円運動をしている場合の式です。
最終形
\boxed{\vec L=\vec r\times \vec p}
\boxed{\frac{d\vec L}{dt}=\vec\tau}
\boxed{\vec\tau=0 \Rightarrow \vec L=\text{const.}}
一言でいうと
- 角運動量は、回転運動を運動量の言葉で見るための量です。