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重心の基本
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導入
この講義で最重要なのは、重心は「質量の分布を 1 点に集めて見る場所」であり、剛体の運動や釣り合いを整理する基準点になることです。
物体が広がっていると、どこに力が働き、どこまわりで回転するかが複雑になります。しかし重心を見ると、並進運動は「質点が重心にある」と思ってよい形に整理できます。
用語と定義
重心 とは、質量の分布を平均した位置です。
質点 m_1,\dots,m_n が位置 \vec r_1,\dots,\vec r_n にあるとき、重心 \vec R は
\vec R=\frac{m_1\vec r_1+\cdots+m_n\vec r_n}{m_1+\cdots+m_n}
で与えられます。
方針
まず 2 点の場合で、重いほうに近づくという直感を作ります。そのあと一般の式を見て、力学では重心を基準にすると話がどう簡単になるかを整理します。
直感的な説明
2 人で棒を支えるとき、重いものが片側に寄っていれば、釣り合う位置もその側へ寄ります。重心は、その「どこで支えれば全体が釣り合いやすいか」を表す点です。
厳密な説明
1. 2 質点の場合
m_1,m_2 が一直線上にあるなら、重心 R は
R=\frac{m_1x_1+m_2x_2}{m_1+m_2}
で与えられます。これは質量つきの平均です。
2. 一般の定義
\vec R=\frac{\sum_{i=1}^n m_i\vec r_i}{\sum_{i=1}^n m_i}
です。
3. 力学での意味
全質量を M とすると、
M\frac{d^2\vec R}{dt^2}=\vec F_{\mathrm{ext}}^{\mathrm{total}}
が成り立ちます。つまり重心は、外力の合力にしたがって運動する点として振る舞います。
見分け方
- 複数の質点や広がった物体を、全体として見たいときは重心を考えます。
- 釣り合いの問題では、「どこで支えると倒れないか」を見るために重心が重要です。
- 運動の問題では、内部で力が複雑に働いても、重心の運動は外力だけで決まります。
最終形
\boxed{
\vec R=\frac{\sum m_i\vec r_i}{\sum m_i}
}
\boxed{
M\frac{d^2\vec R}{dt^2}=\vec F_{\mathrm{ext}}^{\mathrm{total}}
}
一言でいうと
- 重心は、物体全体の質量の偏りを 1 点に集約して見るための基準点です。