用語と定義
群準同型 とは、群 G,H の間の写像 f:G\to H で
f(a\ast b)=f(a)\star f(b)
を満たすものです。
環準同型 とは、環の足し算と掛け算の両方を保つ写像です。
厳密な説明
1. なぜこの定義なのか
もし f が単なる写像でなく、演算の意味まで保ってほしいなら、
a\ast b
を先に計算してから写したものと、
f(a)\star f(b)
を写した先で計算したものが一致しなければいけません。だから
f(a\ast b)=f(a)\star f(b)
が自然な定義になります。
2. 整数から mod n への写像
\pi:\mathbb{Z}\to \mathbb{Z}/n\mathbb{Z},\qquad \pi(a)=[a]
を考えます。これは
\pi(a+b)=[a+b]=[a]+[b]=\pi(a)+\pi(b)
を満たすので、加法群としての準同型です。
さらに
\pi(ab)=[ab]=[a][b]=\pi(a)\pi(b)
なので、環準同型でもあります。
3. 核とは何か
群準同型 f:G\to H の核とは、
\ker f=\{a\in G\mid f(a)=e_H\}
です。つまり「単位元へ潰れてしまう元の集まり」です。
さきほどの \pi:\mathbb{Z}\to\mathbb{Z}/n\mathbb{Z} では
\ker \pi = n\mathbb{Z}
です。なぜなら [a]=[0] であることと、a が n の倍数であることは同値だからです。
ここで重要なのは、合同式
a\equiv b\pmod n
が、「a-b が核に入る」という言葉でも読めることです。
4. 像とは何か
像とは
\operatorname{Im}f=\{f(a)\mid a\in G\}
です。これは「実際に到達できる元の集まり」です。
\pi:\mathbb{Z}\to \mathbb{Z}/n\mathbb{Z}
では、すべての剰余類が像に現れるので、全射です。
5. なぜ剰余類と準同型がつながるのか
準同型の核は、「同じものとして潰される違い」を表します。mod n では、その違いが n の倍数です。だから剰余類は、核によって同じとみなされた仲間分けとして見えます。