markdown
線積分と面積分の入口
lecture/math/analysis/線積分と面積分の入口-講義.n.md
線積分と面積分の入口
mathanalysisundergraduatelecture
導入
この講義で最重要なのは、線積分を「道に沿って足す積分」、面積分を「面を貫く量を足す積分」として理解することです。
普通の積分は 1 本の区間に沿って数を足します。しかし場を考えると、曲線に沿って仕事を足したり、面を通る流量を足したりしたくなります。そこで線積分と面積分が必要になります。
用語と定義
線積分 とは、曲線に沿って量を足していく積分です。
面積分 とは、面を通る量を面の上で足していく積分です。
ベクトル場 \mathbf F に対する線積分は
\int_C \mathbf F\cdot d\mathbf r
で、面積分は
\iint_S \mathbf F\cdot d\mathbf S
で書きます。
直感的な説明
山道を歩いて風に押されることを考えると、仕事に効くのは道に沿った風の成分だけです。だから線積分では \mathbf F\cdot d\mathbf r が自然です。
いっぽう、網を通り抜ける風の量を考えると、面に垂直な成分だけが効きます。だから面積分では \mathbf F\cdot d\mathbf S が自然です。
厳密な説明
1. 線積分
曲線 C を小さく分けたとき、各区間での微小変位を \Delta \mathbf r とします。場 \mathbf F がする仕事の近似は
\mathbf F\cdot \Delta \mathbf r
です。これを全部足して極限を取ると
\int_C \mathbf F\cdot d\mathbf r
になります。
2. 面積分
面 S を小さい面積要素 \Delta S に分け、単位法線ベクトルを \mathbf n とします。この小片を通る流量の近似は
\mathbf F\cdot (\mathbf n\,\Delta S)
です。これを全部足して極限を取ると
\iint_S \mathbf F\cdot d\mathbf S
になります。ここで
d\mathbf S=\mathbf n\,dS
です。
3. 電磁気とのつながり
電場や磁場の流束は面積分です。したがってガウスの法則
\iint_S \mathbf E\cdot d\mathbf S
は面積分の言葉で書かれます。
またアンペールやファラデーで現れる
\oint_C \mathbf F\cdot d\mathbf r
は、閉曲線に沿った線積分です。
別の見方
解析的な見方
線積分も面積分も、普通の積分を曲線や曲面に広げたものです。
幾何的な見方
線積分は道に沿って効く成分を足し、面積分は面を貫く成分を足します。
物理的な見方
線積分は仕事や循環、面積分は流束や貫通量を表します。
見分け方
- 道に沿って何かを足すなら線積分です。
- 面を通る量を数えるなら面積分です。
- 電磁気で \oint \cdots d\mathbf r が出たら線積分、\iint \cdots d\mathbf S が出たら面積分として読みます。
どこまで成り立つか
ここでは向きのある滑らかな曲線と曲面を前提にしています。向きを変えると符号が変わるので、法線や経路の向きは固定して考える必要があります。
最終形
\boxed{\int_C \mathbf F\cdot d\mathbf r}
\boxed{\iint_S \mathbf F\cdot d\mathbf S}
一言でいうと
- 線積分は道に沿って効く量を足す積分で、面積分は面を貫く量を足す積分です。