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アンペールの法則の基本
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アンペールの法則の基本
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導入
この講義で最重要なのは、アンペールの法則を「電流のまわりで磁場がどれだけ巡っているか」を測る法則として理解し、対称性がある磁場の計算の起点にすることです。
電場にガウスの法則があるように、磁場にも「強い対称性があるときに場を取り出す」ための基本法則があります。それがアンペールの法則です。
用語と定義
アンペールの法則 は、
\oint \vec B\cdot d\vec l=\mu_0 I_{\mathrm{enc}}
です。
直感的な説明
電流のまわりでは、磁場は電流を囲むように回ります。だから磁場を調べるには、面積を貫く量より、閉曲線に沿ってどれだけ回っているかを見るのが自然です。
厳密な説明
1. なぜ \oint \vec B\cdot d\vec l を見るのか
\vec B\cdot d\vec l
は、曲線に接する向きの磁場の成分だけを数えています。電流のまわりの磁場は円周方向を向くので、閉曲線に沿って積分すると、その「巡り」の総量が見えます。
2. アンペールの法則の意味
アンペールの法則
\oint \vec B\cdot d\vec l=\mu_0 I_{\mathrm{enc}}
は、閉曲線の内側を貫く電流 I_{\mathrm{enc}} が、磁場の巡りの強さを決めるという式です。
3. 長い直線電流
長い直線電流では、磁場は電流を中心とする円に接し、半径 r の円周上で大きさが一定です。したがって半径 r の円をアンペア回路に取ると
\oint \vec B\cdot d\vec l=B\oint dl=B(2\pi r)
です。これが \mu_0 I に等しいので
B=\frac{\mu_0 I}{2\pi r}
を得ます。
4. ソレノイド
巻数密度を n とする十分長いソレノイドでは、内部の磁場はほぼ一様で、外部はほぼ 0 とみなせます。このとき長方形のアンペア回路を取ると、
Bl=\mu_0 (nl) I
だから
B=\mu_0 nI
です。
見分け方
- 長い直線電流、ソレノイド、トロイドのように円筒対称や強い対称性があるなら、まずアンペールの法則を考えます。
- 磁場の向きと大きさが、閉曲線の上で揃うかどうかを先に確認します。
- 対称性が弱いなら、ビオ・サバールの法則のほうが起点として自然なことがあります。
どこまで成り立つか
ここで使った単純な形のアンペールの法則は、定常電流を考える範囲での使い方です。また、B を簡単に求められるのは対称性が強い場合です。
別の見方
対称性から磁場を出す見方
長い直線電流やソレノイドのように対称性が強い場面で B を短く求める道具です。
全体像の中で見る見方
よく使う
\oint \vec B\cdot d\vec l=\mu_0 I_{\mathrm{enc}}
は、アンペール・マクスウェルの法則
\oint \vec B\cdot d\vec l=\mu_0 I_{\mathrm{enc}}+\mu_0\varepsilon_0\frac{d}{dt}\int \vec E\cdot d\vec S
で、電場の時間変化を無視できる定常状態の特殊場合です。
data/lecture/physics/electromagnetism/マクスウェル方程式の入口-講義.n.md
最終形
\boxed{\oint \vec B\cdot d\vec l=\mu_0 I_{\mathrm{enc}}}
一言でいうと
- アンペールの法則は、電流が作る磁場の巡りを結ぶ法則で、強い対称性があるときに磁場を求める起点になります。