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熱容量と比熱の基本
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熱容量と比熱の基本
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導入
この講義で最重要なのは、同じだけ熱を加えても、どれだけ温度が上がるかは物質と条件で変わることを、熱容量と比熱で区別して読めるようにすることです。
定積と定圧の熱容量を混同すると、第一法則の使い方が崩れます。この講義では、温度を上げるのに使ったエネルギーが、全部内部へ残るのか、途中で仕事にも回るのかを区別します。
用語と定義
熱容量 は、
C=\frac{\Delta Q}{\Delta T}
です。
比熱 は、単位質量あたりの熱容量です。
定積熱容量 は
C_V=\left(\frac{\Delta Q}{\Delta T}\right)_V
です。
定圧熱容量 は
C_P=\left(\frac{\Delta Q}{\Delta T}\right)_P
です。
直感的な説明
熱容量は、「その物体をどれだけ温まりにくいと見るか」を表す量です。水と金属に同じだけ熱を加えても、温度の上がり方が違うのはこのためです。
気体では、体積を固定して温めるのか、圧力を保って膨張させながら温めるのかで必要な熱が変わります。後者では、温度を上げるだけでなく外へ仕事もしているからです。
厳密な説明
1. なぜ熱容量を定義するか
熱を加えたときに温度がどれだけ上がるかは、物質によって違います。この応答を量として切り出したものが
C=\frac{\Delta Q}{\Delta T}
です。温度を上げるのにたくさんの熱が要るなら C は大きく、少ない熱で上がるなら C は小さくなります。
2. 定積ならなぜ C_V か
体積一定なら \Delta V=0 なので、気体は外へ膨張仕事をしません。したがって第一法則
\Delta U=Q-W
で W=0 だから
\Delta U=Q
です。つまり加えた熱は全部内部エネルギーへ入ります。したがって、定積熱容量
C_V=\left(\frac{\Delta Q}{\Delta T}\right)_V
は、温度を上げるのに内部へどれだけエネルギーを蓄えるかを見る量です。
3. 定圧ならなぜ C_P>C_V か
圧力一定で温めると、気体は膨張して外へ仕事をします。したがって
\Delta U=Q-W
で、同じだけ温度を上げるにも、内部エネルギーの増加分に加えて仕事のぶんまで熱を入れなければなりません。だから
C_P>C_V
です。
4. 理想気体ではどう読むか
理想気体では内部エネルギーは温度だけで決まるので、\Delta U は温度変化と結びます。したがって C_V は内部エネルギーの増加の仕方を直接みる係数として働き、C_P はそこへ膨張仕事のぶんを足したものとして読めます。
別の見方
第一法則の見方
C_V と C_P の違いは、第一法則の右辺で W があるかないかの違いだと見ると整理しやすくなります。
粒子像の見方
温度を上げるのは粒子の運動を激しくすることです。定圧では、それに加えて粒子が外へ押し広げる仕事まで担います。
見分け方
- 熱容量や比熱が出たら、まず体積一定か圧力一定かを確認します。
- 温度の上昇に対して、熱が全部内部へ入るのか、仕事にも回るのかを区別します。
どこまで成り立つか
ここでの説明は理想気体を前提にしています。実在気体では、温度だけで内部エネルギーが決まるとは限らず、C_P と C_V の扱いもより複雑になります。
最終形
\boxed{C=\frac{\Delta Q}{\Delta T}}
\boxed{C_P>C_V}
一言でいうと
- 熱容量は温度を上げにくさを表し、C_P と C_V の違いは第一法則の中で仕事をするかどうかの違いです。