束縛の種類
1. 伸びない糸(Inextensible string)
糸が伸びない条件:糸に沿った 2 物体の速度の差が 0。
単純な場合(2 物体を糸でつなぐ):
a_1 = a_2 = a
加速度の大きさが等しい(向きは別途定める)。
適用条件:軽い糸(質量無視)かつ伸びない。このとき張力 T は糸全体で等しい(定滑車がある場合も同様)。
2. 滑車(Pulley)
定滑車(軸固定):方向転換のみ。糸の速さは変わらず
a_1 = a_2
ただし速度の向きは逆(一方が上に a で加速すれば他方は下に a)。
動滑車(滑車自体が動く):滑車が距離 x だけ動くと糸の片側が 2x だけ変化する。したがって
a_{\text{[荷物/にもつ]}} = \frac{a_{\text{[滑車/かっしゃ]}}}{2} \quad \text{(または } a_{\text{[荷物/にもつ]}} = 2a_{\text{[滑車/かっしゃ]}}\text{—[配置/はいち]による)}
動滑車では力は 1/2 に小さくなるが移動距離は 2 倍になる(仕事は等しい)。
n 段の複合滑車の一般則:動滑車 m 個では力が 1/2^m に小さくなり、変位が 2^m 倍になる。
3. すべりなし転がり(Rolling without slipping)
円断面半径 r の物体が平面上ですべりなしで転がるとき、接触点の速度が 0 であるという条件から
v = r\omega, \quad a = r\alpha
ここで v は重心の並進速度、\omega は角速度。
導出:接触点の速度は重心の速度 v と回転による相対速度 -r\omega(後方)の和。すべりなしより
v - r\omega = 0 \implies v = r\omega
使えない場面:摩擦が不十分ですべる(v \neq r\omega)とき。このとき摩擦力は動摩擦力 \mu_k N で与えられ、束縛条件は使えない。
4. 面への拘束(Surface constraint)
物体が面から離れない条件:面に垂直な方向の速度が 0(面の形状によって変化する)。
平面上の物体:法線方向の加速度 = 0(静止/等速)または = 向心加速度(曲面)。
離れる条件の判定:垂直抗力 N = 0 になったとき面から離れる。N < 0 は物理的に不可能(引っ張れないため)。
5. 固定軸(Fixed axis)
軸が固定されているとき、軸に垂直な方向の移動が 0。結果として運動は回転のみに限定される:
\vec{v} = \vec{\omega} \times \vec{r}
具体例:斜面上の2物体(定滑車経由)
質量 M の物体 A が水平面上、質量 m の物体 B がぶら下がる。定滑車で糸がつながれている。摩擦なし。
物体 A の運動方程式(水平):
Ma_A = T
物体 B の運動方程式(鉛直):
ma_B = mg - T
束縛条件(定滑車、伸びない糸):
a_A = a_B = a
連立して T を消去すると:
a = \frac{mg}{M + m}, \quad T = \frac{Mmg}{M + m}
具体例:転がる円板
質量 M、半径 R、I = \frac{1}{2}MR^2 の円板が水平面上ですべりなしで転がるとき、外力 F(水平)が作用する場合。
並進の運動方程式:Ma = F - f(f:静止摩擦力)
回転の運動方程式(接触点まわり):I\alpha = fR
束縛条件:a = R\alpha
連立すると f = \frac{F}{3}(内側)、a = \frac{2F}{3M}。
最終形
\boxed{a_1 = a_2 \text{([伸/の]びない[糸/いと]・[定滑車/じょうかっしゃ])}}
\boxed{v = r\omega,\ a = r\alpha \text{(すべりなし[転がり/ころがり])}}
\boxed{\text{[束縛条件/そくばくじょうけん]の[数/かず]} = \text{[自由度/じゆうど]の[削減/さくげん][数/かず]}}